無人島シネマ

毎朝7時頃更新 忘れてしまうには惜しい映画 と雑記

764. ガラスの城の約束

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引用元:amazon.co.jp

 

2017年のアメリカ映画

 

2005年に刊行された原作「The Glass Castle」は全米のベストセラーにもなった

 

セレブなイメージのあるコラムニストのジャネット・ウォールズが、自らの過酷な幼少期の出来事を綴った衝撃的な実話

 

 

 

「ニューヨーク・マガジン」社で活躍するコラムニストのジャネット(ブリー・ラーソン)はプライベートでも婚約も決まり、充実した毎日を送っていた

 

唯一の気がかりは、婚約したことをどうやって両親に報告するか、ということ

 

というのも、彼女は他の兄弟たちと悲惨な幼少期を過ごしてきた

 

電気もガスも無い田舎の一軒家で、学校にも行けず食べる物もない生活を強いられ、父親のレックスからは常に意見を否定され、酔っている時にはDVも受けてきた

 

そんな父から逃げるようにして、ニューヨークに来たジャネットだったが、ある日帰りのタクシーに乗っていると、車道に飛び出してきたホームレスの男に遭遇する

 

 

 

 

 

本人としては「子育て」の感覚ながらも、ずっと「支配」してきたレックス

 

酒が入ると、より質が悪くなり、DVに至ることも

 

自然に触れさせ、体験から学ばせ、個性を育むのは大いに結構だけれど、偏った教育方針で、学校にも行けず、食事もまともに摂れず、意見はことごとく否定され、絶対的な服従を強いられる子供たち

 

こうした父親を描いた映画は他にもあるけれど、比較的最近(2021年)鑑賞した「スウィート・シング」を思い出した

 

レックス自身も、実母からDV(性的なものも含め)を受けた被害者として観ることもできるけれど、子供が成長していく過程で支配し続けようとするのは、別個の人格として接することができない( 「子離れできていない」)ということだろう

 

親としての善悪を判断するスイッチをオフにして、唯々映画を最後まで堪能することに何とか成功したけれど、唯一注文を付けるとしたら(実話ベースだから話を曲げるわけにはいかないのだろうけれど)最後は美談にしなくてもよかったと思う

 

(最後の数分を除いて)支配しようとする様子が本当に腹立たしく、生理的に嫌悪してしまう父親を、見事に演じたウディ・ハルソン

 

本作と同年に公開された「スリー・ビルボード」で保安官役を演じている

 

他では、鉱山で働く男を演じた「スタンドアップ」、或いは「ノー・カントリー」など、古い価値観の嫌な感じの男の役が得意

 

私生活でもなかなかのお騒がせ人物のようで、パパラッチや警官を殴ったり、タクシーの座席を破壊したり、マリファナの栽培、そして環境保護のアピールでゴールデンゲートブリッジに登ったことなどによる逮捕歴がある

 

また「おかしな二人」などの原作で知られるニール・サイモンの娘ナンシー・サイモンと入籍するも、その翌日に離婚を申請している

 

何とも忙しい人みたいだけれど、本作のレックス役はこれ以上ないハマリ役だったのかもしれない

 

 

明日は、久しぶりに是枝作品を紹介します

 

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