無人島シネマ

毎朝7時頃更新 忘れてしまうには惜しい映画 と雑記

1525. トラベラー

引用元:filmarks.com

 

キアロスタミ監督の長編デビュー作

 

先に「桜桃の味」、「友だちのうちはどこ?」、「そして人生はつづく」などを観て、すっかり彼の描く世界に魅了されているけれど、そのエッセンスの原型が凝縮されているような本作に、感動しつつ少し笑いながら鑑賞

 

 

 

テヘランから南に相当離れた田舎に住んでいる、10歳の少年ガッセム

 

サッカーが大好きで、毎日友達とミニゲームに明け暮れているせいで、ついには落第してしまう

 

学校の先生に叱られても、母親から宿題しなさいと怒鳴られても、つい楽しい方にながされてしまうガッセム

 

 

ある日、通学路にある店で、スポーツ紙を買い(その後、授業中に読んで先生に取り上げられてしまう)、明日テヘランでサッカーの代表試合があることを知る

 

お布施の為に母親が絨毯の下に入れていたお金をくすね、家にあるカメラを売ろうとし(売るのは諦めて、記念撮影をしてやると言い、学校の生徒たちから小銭をせしめる)、最後にはチームの大事なサッカーボールと小さなゴールまで売り払ってしまう

 

何とかバスのチケットを入手し、夜中に自室の窓から抜け出してテヘランに向かうガッセム

 

翌朝からスタジアムに並ぶも、チケットは彼の直前で売り切れてしまう

 

それでも、怖そうなダフ屋に掛け合い、何とかチケットを手に入れる

 

良い席も確保し、試合まであと3時間もあると聞き、隣に座っているおじさんに「この席を取っておいてね」と頼んでから、ガッセムはその場を離れてしまう

 

 

 

 

ここまでやんちゃで実行力のある子どもではないにしても、誰しも思い当たる幼少時代の葛藤が、キアロスタミ監督流に描かれていて、つい心配しながら、応援しながら観てしまう

 

 

明日は、ロイ・アンダーソン監督の不思議な作品をご紹介

 

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