「映画芸術」という雑誌の
2023年日本映画ベスト&ワースト
というタイトルに刺激されて購入
ワーストの一位に「月」と「怪物」の二作がランクされ、個人的にはベスト9に入れた「658km、陽子の旅」の上位に入っているのに驚いた
と同時に、この雑誌のワーストの意味するところを何となく理解
一方でベストには、一位から「花腐し」、「福田村事件」、「せかいのおきく」に続いて四位にランクされた本作が気になり鑑賞(@ユーロスペース)
終戦直後、辛うじて焼け残った居酒屋で、夫と幼い子供を失いひとりで暮らしている女(趣里)
何の希望も無く、酒を卸に来る男や、居酒屋の客に体を売って毎日を凌いでいた
ある蒸し暑い日の昼間、女が居間で横にっていると、空襲で家族を失った幼い男の子(塚尾桜雅)が、店に置いてあったかぼちゃをかじっていた
女は「あんたが来るところじゃないよ」と言って、追い払おうとするも、子供は立ち去ろうとしない
またその夜、通りである男から「ここに来れば優しくしてもらえる」と聞き、やってきた復員兵(河野宏紀)も入りびたる様になり、奇妙な三人での生活が始まる
終戦直後の生活を独特の視点で描いた前半には観応えがあり、スクリーンに引き込まれたけれど、森山未來演じるもう一人の復員兵によるクライマックスは、賛否の分かれるところ(森山未來には何の罪もないけれど)
「戦争の狂気」について、風呂敷を拡げ過ぎている風に感じたけれど、本作はワーストの方にはランクインさえしていなかった
「ふーん」と納得のいかないモヤモヤを感じつつも、こういう個人の好みとのズレも面白い
明日は、フランスの裁判映画をご紹介