日帰りできるミニシアター行脚ということで、あつぎのえいがかんkikiにて鑑賞
小田急本厚木駅から徒歩5分くらいの場所にある、学園祭のような雰囲気のある劇場
受付の前には、こんなスペースも ↓
上映のリクエストにちゃんと応えて、しかもスタッフのコメントが書き込んである
「こういうやりとりって良いなあ」と思いながら眺めていると、その横でリクエストシートにせっせと書き込んでいる人が居た
選んだ作品は(神奈川県ということもあって)相模原障害者施設殺傷事件を扱った、辺見庸の小説が原作
かつて東日本大震災をテーマにした小説がヒットしたものの、その後は長いスランプに陥っている作家の洋子(宮沢りえ)
出産した子供に重度の心臓疾患があり、三歳で亡くなってしまうという不幸もあり、夫の昌平(オダギリジョー)と共に、傷心の日々を送っていた
昌平は仕事を続けることも出来ず、(誰に見せるわけでもなく)自ら製作した模型を使った映像作品を自宅で撮っている
そこで洋子は、二人が生活していく為に、近くにある障害者施設に勤務することにする
施設では、洋子よりもずっと年下の社員の、作家を目指している陽子(二階堂ふみ)や、絵が上手な青年さとくん(磯村勇斗)らに迎えられ、無事に仕事を始める
ところが、重度の障害者のケアは想像以上に難しく、また(暴力と言えるような行為もあり)社員の働き方に疑問を感じ始める
危惧していた犯行シーンは、後半の一部で、直接的な表現も無く、また事件を直接描くというアプローチではなく、奪われてしまう生命を、自身の子供、あるいは同居人の障害と照らし合わせることで、テーマに迫っていく
観て良かったと素直に思えないし、観終わって結論に達することもない
正解の見えない問題を突きつけられて、観客を含め、誰しも傍観者で居られない作品に、思わず「観るんじゃなかった」とさえ思った
しかし、それでも「できるだけ多くの人がどんよりした気分を抱えて、結論を出せないまま悶々とする」ことが必要なのかもしれない
明日は、西川美和監督作品をご紹介