渋谷Bunkamuraにて鑑賞
以前から楽しみにしていた作品で、感染者数も落ち着いてきたこともあって混雑を予想していたけれど、予想外というか幸運にもゆったりと観られた
舞台は1931年のベルリン
作家志望のファビアン(トム・シリング)は、ドレスデンからベルリンにやってきた
ナチズムの台頭が進む中、せっかく見つけた仕事も失い、女優志望のコルネリア(サスキア・ローゼンタール)と、愛と夢はあるものの、貧しさと不安の中で暮らしていた
絶えず口論しながらも唯一の理解者であり、親友だったラブーデ(アルブレヒト・ヒュッヘ)も、
「狂騒と頽廃(たいはい)」という表現がこれほど当てはまる場所も他に無いと思われる当時のベルリンの様子を、当時の映像も織り交ぜながら登場人物の衣装や小物、街並など、巧みに再現している
但し、主軸はあくまでもファビアンというひとりの青年の人生を追った重厚な人間ドラマ
あまり当時のドイツの事情(もちろんストーリーの大前提として大きく影響を持ってはいるけれど)に期待して観ると肩透かしかもしれない
原作は設定と同じく1931年に発刊された、児童文学作家エーリッヒ・ケストナーによる「ファビアン あるモラリストの物語」
主演のファビアンを演じたトム・シリングは、どこかで観たかもと検索してみたら、「ピエロがお前を嘲笑う」でいじめられっ子の天才ハッカー・ベンヤミンを演じていた