無人島シネマ

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565. フラガール

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引用元:amazon.co.jp

 

2006年の作品

 

数年振りに鑑賞

 

 

 

茨城県北部から福島県にかけて開発された常磐炭鉱

 

1883年に磐城炭鉱会社が設立され、その翌年から採掘が始まっている

 

白虎隊の自決からわずか15年(時代感覚がおかしくなってしまう)

 

 

硫黄分が多くて純度の低い炭質という不利な条件ながらも首都圏に最も近く、本州一の規模にまで成長した炭鉱

 

しかし、良質な石炭層を求めてより深く掘り下げる高度な技術が要求されるこの炭鉱はコスト競争、そしてエネルギー革命の中で生き残ることができず、雇用の確保が難しくなっていく

 

昭和40年、会社は「(会社が)生き残るために」と大幅な人員削減を強行する

 

いわき市の炭鉱労働者たちには他に働き口もなく、会社への強硬姿勢を崩さないものの、炭鉱で働き続けることは不可能だということもわかっていた

 

この状況を救うため、日本人の憧れる楽園ハワイをテーマにした施設「常磐ハワイアンセンター」を作ろうというプロジェクトが立ち上がる

 

これまで掘削作業の障害でしかなかった豊富な温泉を活かし、温水プールにフラダンスのショーとセットにしたレジャー施設によって町を再生しようというアイディアは、炭で体中真っ黒にして働くことが仕事だと信じてきた労働者たちから猛反発を喰らう

 

そんな中、地元の娘たちにフラダンスを教えるために東京からまどか(松雪泰子)がやってくる

 

地元の高校生早苗(徳永えり)は「ハワイアンダンサー募集」のポスターを見て、親友の紀美子(蒼井優)に「フラダンスにチャレンジしてみたい」と誘う

 

 

 

 

今となっては感動のストーリーながらも、祖父の代から続く炭鉱で働いている人たちにとって解雇、そして突然「ハワイ」と言われても反応できない感覚は現実的なものとして理解できる

 

そんな状況の常(?)として思考停止してしまう男たちと、残された可能性に向けて立ち上がる女たち

 

人間が「食べていく」ことについて改めて考えさせられる

 

 

 

この「常磐ハワイアンセンター」は1966年(昭和41年)にオープンしている

 

まだ海外旅行は「高嶺の花」で、憧れのハワイにも行くことが難しい中、「東京から行けるハワイ」として年間120万人以上の集客を達成する

 

その後、景気や円相場、高速道路の開通、震災やコロナなどの影響で浮き沈みを繰り返しながら、今でも営業を続けている(現在の名称は「スパリゾートハワイアンズ」) 

 

ジェイクシマブクロの同名タイトル曲も素晴らしく「フラガール 全国きずなキャラバン」でのハイライトにもなっている

 

 

 

明日は、音楽も話題になったダスティン・ホフマン出世作

 

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