無人島シネマ

毎朝7時頃更新 忘れてしまうには惜しい映画 と雑記

770. よこがお

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引用元:filmarks.com

 

2019年の日本・フランス映画

 

 

訪問介護士として働く市子(筒井真理子)が、この一年ほど通っている大石家には、高齢で末期がん患者の塔子の他に嫁の洋子、その娘で長女の基子(市川実日子)そして中学生で次女のサキの四人で暮らしている

 

子どもたちともすっかり仲良くなった市子だったが、ニート生活を送っている長女の基子は、市子に憧れているのか介護士になる勉強を続けている

 

市子が喫茶店でふたりに勉強を教えていると、市子の甥の辰男(須藤連)が「北海道に行く」と言って大きなリュックを背負ったまま、頼まれた教科書を届けに来る

 

そんなある日、ちょうど市子が大石家を訪問している最中に「中学生の大石サキさんが失踪中」そして「犯人は鈴木辰男」とテレビのニュースが伝え、母の洋子は取り乱すも、基子は(洋子は動揺して犯人が辰男である部分は聞き逃しているから、このままそっとしておいて)と市子を目で制す

 

基子の配慮に多少安堵した市子だったが、その基子は市子が加害者の家族であること、そして大石家に出入りしていること、そしてさらに市子を苦境に陥れる過去のエピソードをマスコミに漏らしてしまう

 

 

 

市子がリサという偽名を使う前の話と後の話を交差させながら、行動の意図が掴み難い登場人物たちを描いていく、なかなか込み入ったストーリー

 

最後に何処に辿り着くのかもよくわからない展開ながら、不思議な吸引力のある作品

 

もちろん主役の筒井真理子の演技力に依るところ大きいのだろうけれど、冒頭のシーンで新客ながら米田(池松壮亮)を指名でカットしてもらいにやってくるところが印象的

 

「以前どこかでお会いしましたか?」と問う米田に対して

 

「よく言われるんです ありがちな顔なんですよね」と返す市子(リサ)

 

この台詞で微妙に気まずい雰囲気を醸し出せる筒井真理子以上の女優は思いつかないし、それを穏やかに受け止める米田役にも池松壮亮より他の俳優は考えつかない

 

特に池松壮亮の演技は優しく(緩く)見えるけれど、余計な言い訳もせず(無難な言葉で流したりもせず)状況に向き合った対応をしているように感じさせる

 

 

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