引用元:amazon.co.jp
1996年のアメリカ映画
原題も「Hard Eight」
ハードエイトとは、クラップスというカジノで行われるゲームで「4のゾロ目」を意味する言葉
PTAことポール・トーマス・アンダーソンの記念すべき一作目
後にPTA作品の常連となるフィリップ・ベイカー・ホール、ジョン・C・ライリー、そしてフィリップ・シーモア・ホフマンたちによる痛快B級サスペンス
2時間以内で気軽に観られて「あー面白かった」と言える作品
ひとりの老人が歩いてダイナーに向かう、最初のシーンはまるで
「才能溢れる、ちょっとクセのある監督のデビュー作が今から始まりますよー」
と、ファンファーレを鳴り響かせるかのように印象的なカメラワーク
シドニー(フィリップ・ベイカー・ホール)というキチッとした身なりの老人は、ダイナーの入り口に座り込んでいる、くたびれた服装の男ジョン(ジョン・C・ライリー)に話しかける
「コーヒーとタバコをご馳走するから中で話そう」
ラスベガスのカジノで一文無しになったジョンに、シドニーは「50ドル貸してやるから今からラスベガスで俺の言う通りにやってみろ」とカジノでの指南をする
ジョンはこの不自然な申し出を警戒しながら、これ以上何も失うものは無いとシドニーの車に乗り込みカジノに向かう
「ザ・ロイヤル・テネンバウムス」のマーゴットなど、ちょっと病的な役がぴったりなグウィネス・パルトローがクレメンタインというジョンの恋人役を、そして調子に乗ってクラップスでシドニーを挑発する若者(?)役でフィリップ・シーモア・ホフマンが登場する
ジョンとクレメンタインの描き方が(デビュー作だけあって若干くどい気もするけれど)絶妙で「本当に意地悪な人だな」と思わせる
ふたりは不必要に、また安易に激高し、自分で解決できないのに人のアドバイスを聞こうとせず、そして逮捕されるかもしれない状況で本当につまらない意地を張る
よく映画に登場する「我慢の効かない愚かなキャラクター」ではあるけれど、演出のひとつひとつに毒があり過ぎて笑えるし、観ていて心地良くイライラさせられる
「最近観た面白い映画は?」
と聞かれて
「全然名作じゃないんだけど」と前置きしてから薦めたい映画
明日は、名優の最後を飾った作品を紹介します