無人島シネマ

毎朝7時頃更新 忘れてしまうには惜しい映画 と雑記

373. プアン / 友だちと呼ばせて

 

久しぶりのタイ映画、そして製作総指揮ウォン・カー・ウァイというクレジットに惹かれてシネクイントにて鑑賞

 

 

ニューヨークでバーを営んでいるボス

 

店は繁盛しているものの、経営ノウハウもなく、気に入った女性客にカクテルをご馳走したりで、赤字続き

 

実際のところは、タイの富豪に嫁いだ母からの仕送りで賄っていた

 

そんな彼の元に、バンコクに住む友人のウードから

 

「癌で余命宣告を受けた 最後の頼みがあるからバンコクに来て欲しい」

 

という電話が入り、ボスは翌日バンコクに帰国する

 

すっかり髪の毛の無くなったウードだったが、表情は明るく

 

「元カノに返したいものがあるから、ドライバーを務めてくれ」とボスに車のキーを預ける

 

 

 

元カノを訪ねて回るシーンではジム・ジャームッシュの「ブロークン・フラワーズ」を思い出させるけれど、リタイアした後のビル・マーレイと余命僅かな青年では、やっている行為は同じでも、その意味合いは大きく異なる

 

そしてウードには、ボスにまだ伝えていない重要なミッションがあった

 

 

 

 

過去を謝ったり許したりしながら気持ちの整理をしたり、関係の修復をしたり、それを拒んで今の生活を守ろうとしたり、それぞれの違った反応がほろ苦いけれど、「恋する惑星」にも通じる爽やかな雰囲気に包まれている

 

プーンピリヤ監督の作風も気になって、鑑賞後すぐに「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」を観てみた

 

登場人物がやたらと魅力的に観える共通点はあるけれど、テンポよく話は進んで行きながらも途中に「ひと捻り」あるところが個性的

 

今どき、試験のカンニングというテーマで面白い映画を作ることができるなんて、、と感動してしまった

 

 

原題は「One for the road」

 

映画の中でもこのフレーズの意味が説明されているけれど「最後の一杯」という意味

 

プアン(เพื่อน)はタイ語で「友達」、これだと本作のほろ苦いニュアンスが伝わらず少し残念

 

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