無人島シネマ

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1095. ハイネケン誘拐の代償

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引用元:amazon.co.jp

 

1983年に起こったハイネケン経営者のフレディ・ハイネケン誘拐事件をベースにした2015年のベルギー・イギリス・オランダ映画

 

 

コル・ヴァン・ハウト(ジム・スタージェス)は、アムステルダムで会社を経営するも資金繰りは苦しく、資産を売却してもなお火の車だった

 

銀行にも融資を断られて先の見えなくなった彼は、幼馴染のヴィレムたち仲間とハイネケンの経営者フレディ・ハイネケンアンソニー・ホプキンス)を誘拐しようとする

 

ハイネケン氏を選んだ理由は(本作中、明らかにされるわけではないけれど)折り合いの悪い父親がクビになったにもかかわらずかつて働いていたハイネケンに誇りを持っていて何かと自慢してくるのが鬱陶しかったのかもしれない

 

夜、ハイネケン氏が自宅から出るとこを運転手と共に誘拐し、計画通りに倉庫の中にある防音した部屋に連れていく

 

 

事件は翌朝から大々的なニュースになるも身代金交渉はなかなか進まず、仲間は次第に焦り始める

 

しかし当初の期限を少し過ぎた頃になって身代金を得ることに成功し、それぞれが分け前を手に逃走を試みる

 

 

 

近年では(その成功率の低さからか)すっかり見なくなった身代金目的の誘拐

 

本作の様に誘拐して匿うところまでは出来るとしても、そこから先が難しいというか、当たり前に(体制を整えた警察組織を相手にお金を受け取りに出向くという)不利なゲームを強いられることになる(その辺りの話は以前「天国と地獄」にも書いた)

 

 

ちなみに実話でのハイネケン氏は、事件当時はハイネケン社の三代目会長

 

入社時(18歳)には経営権も持ち株もない平社員の状況から、アメリカで実績を積みながら株を買い進め、48歳でCEOになる

 

クアーズバドワイザー、ミラーの他にもたくさんビール会社のあるアメリカで、相当苦労しただろうし、鍛えられただろう

 

事件後は(その経験を活かして?)警備会社を立ち上げてもいる

 

本作では、その冷静沈着なハイネケン氏をアンソニー・ホプキンスが演じている

 

素人集団の誘拐犯グループ(キャストの中にもビッグ・ネームは存在しない)との対比も生まれるし、作品に深みを与えるという点でも大いに成功している 

 

 

ちなみにハイネケンのビールは、ちゃんとビールの味がするから(いつも家で飲むというほどではないけれど)球場で売っていたら少し待ってでも買うくらい好き

 

 

明日は、台湾の白色テロについての作品をご紹介