引用元:amazon.co.jp
1963年の黒沢映画
製靴会社の常務、権藤(三船敏郎)は、経営に苦しむ会社を立て直すために、実権を手に入れようと、密かに自社株を買い増す計画を立てていた
そんな折、「子供を預かった」という誘拐犯からの電話が入り驚くも、息子の純は自宅におり、いたずらを疑う
ところが運転手、青木(佐田豊)の息子の進一がいないことから、犯人は子供を間違えたものと判明し、権藤は身代金3000万円を要求される
妻の怜子(香川京子)と青木は、権藤に身代金の支払いを懇願するも、権藤は自社株を買い増すために、翌日までに5000万円送金する必要があり(それが叶わなければむしろ窮地に立たされてしまう)その願いを断り続ける
本作には、1964年がどのくらい昔なのかを伝えてくれるいろんなものが詰まっている
横浜のバラック小屋が並ぶ風景だったり、街ゆく人達の服装(もちろん綺麗にしている人もいるけれど、ちなみにハマトラがブームになるのは十数年後)、そして台詞の端々からコンプライアンスのコの字も無い時代だったことが伝わってくる
また本作をきっかけにして複数の模倣犯が出たり、誘拐犯への量刑が変わったりする(量刑の軽さに対する怒りが、本作を制作する動機だった)なんて、当時の映画の持つ影響力に驚かされる
ちなみに戦後の日本における未解決の身代金目的による誘拐事件は、(グリコ社長誘拐など)8件のみ
8件とも身代金の受け取りには成功していない = 成功率としては0%という「確率の悪い犯罪」
もちろん警察に届け出ていないものはここに含まれていない