無人島シネマ

毎朝7時頃更新 忘れてしまうには惜しい映画 と雑記

656. 息もできない

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引用元:amazon.co.jp

 

2008年の韓国映画

 

ヤン・イクチュンの初の長編監督作品

 

韓国で俳優として活躍、本作でも主役兼監督を務めている(日本の映画「夢売るふたり」にも探偵役で出演)

 

 

幼くして母を亡くし、ロクでもない父親の元に育ったサンフン(ヤン・イクチュン)は、年上の友人マンシクと取り立て屋を生業としていた

 

子分を引き連れて返済の無い債務者の自宅に押しかけ、回収するためには暴力も辞さない悪質な取り立て

 

リーダーとして、働きの悪い部下に対しても、殴る蹴るを繰り返していた

 

そんなサンフンはある日、通りすがりの女子高生ヨニに、唾を吐きかけたことで口論になる

 

 

他の皆は、自分を恐れて話しかけてこないというのに、気が強く怯まないヨニに、何故かサンフンは次第に心を開いていく

 

 

債務者に、子供に、親に、子分に、哀しくなるほど暴力が繰り返される

 

目の前の貧困、そして派生する借金や苛立ちなどから、ごく自然に(また簡単に)暴力に繋がってしまう

 

負った傷と屈辱が、また次の暴力を生み、下の世代にも継がれていく

 

 

 

前々回レビューした「つむぐもの」で、韓国からワーキングホリデーで日本にやってきたフリーターを演じたキム・コッピの、個性的な演技が本作でも堪能できる

 

この年頃で、8年という時の長さは、驚くほど見違えることもあるだろう

 

しかし、彼女の場合、本作で既に貫禄があるというか、8年前からしっかり女優の佇まい

 

 

 

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