無人島シネマ

毎朝7時頃更新 忘れてしまうには惜しい映画 と雑記

654. つむぐもの

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引用元:amazon.co.jp

 

2016年の犬童一利監督作品

 

そして石倉三郎初の主演作品

 

 

つまらないことで上司に歯向かって仕事をクビになったヨナ(キム・ヨッピ)

 

ブラブラしていても仕方がないと、親からツテを頼ってワーキングホリデーで日本で働いてみてはと勧められる

 

越前和紙作りのお手伝いと聞いてやってきたところ、ヨナが来る直前に脳梗塞で倒れてしまった独り暮らしの職人剛生(石倉三郎)の介護をしてくれと言われてしまう

 

元々日本語も話せない上に介護の経験もなく、その上頑固な剛生からは「国に帰れ」と冷たい対応をされてしまう

 

 

 

剛生がヨナと並行してお世話になる地元の介護施設でのシーンも多く、介護福祉士の仕事の難しが伝わってくる

 

志がなければ出来ないし志だけでは続かない日々の業務に、新人介護福祉士の涼香(吉岡里帆)も彼女の先輩たちも精神のバランスを崩していく

 

「息もできない」などの韓国映画に出演しているキム・コッピ演じる介護未経験のヨナがそんな状況の中で体当たりの介護をしていく

 

最初は介護素人の出しゃばりに職員たちは嫌悪するも「自分たちの介護は本当に役に立っているのか」と次第に自らの歪にも気づかされていく

 

この辺りを「どちら側が善でどちらが悪」という描き方をしていない抑制が、日本と韓国の描写にも感じられ、作品に深みを与えている

 

 

韓国に戻ってきたヨナは再びぐうたらな生活に戻り「何のために日本まで行ったの?」と母親に嫌味を言われるけれど、帰国後の生活に大した変化が無くても「行く前とは確実に何かが違う」と本人が感じている様に見えるのが嬉しい

 

ヨナを演じているキム・ヨッピは、本作の8年前「息もできない」で気の強い高校生役を好演している

 

 

越前和紙について調べてみるとこんなサイトもあった(ワシマ

 

 

 

明日は、「バイトの掛け持ちもほどほどに」という邦画をご紹介