無人島シネマ

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544. モリコーネ 映画が恋した音楽家


渋谷Bunkamuraル・シネマにて鑑賞(@イベント割 1,200円)

 

「よく知らない、彼の初期の作品を聴いてみよう」というお勉強モードで臨んだ作品

 

前半はその通り、モリコーネが編曲家・作曲家として頭角を現すところから、彼の情熱と独創性を、当時傍にいた仲間や同業者、またタランティーノや、オリバー・ストーンクリント・イーストウッド、ウォン・カー・ウァイらの証言と、彼が作った楽曲と共に振り返るドキュメンタリー

 

このスタイルは最後まで続くけれど、それと同時に途中からは、「映画音楽で生計を立てている」ことへの葛藤も描かれ、モリコーネという人物の人間ドラマとしても楽しめた

 

 

クラッシックよりも映画音楽は下に見られていた、という状況は何となく想像がつくけれど、そこまでの劣等感(彼の言葉からすれば罪悪感に近い)があったのか、というのは正直なところ驚き

 

実際、60年代に映画音楽を始めたモリコーネは、

 

「70年になったら映画音楽はやめる」と妻のマリアに告げ、70年代には

 

「80年になったら映画音楽はやめる」と言い、それを2000年まで繰り返す

 

そしてその後は「もう言わない」と告げる(笑)

 

 

そんな中で、監督から要求される内容に怒って家に帰ったり(翌日素晴らしい曲を仕上げてくる)、心無い批判を浴びたり、アカデミー賞の何度も逃したりしながらも、映画作品に最高に合う音楽を追求し、傑作を生みだしていく

 

彼の言葉の中で印象的だったのが

 

「監督は、脚本、照明、セット、演技、カメラワーク、フレーミングなどをすべて統括しているけれど、音楽については出来ない」

 

というもの

 

モリコーネが映画音楽という仕事に対して、(先述の劣等感とは別に)誇りと自信を持っていることが感じられる

 

そして「絶対音楽と映画音楽が共生していく感覚がある」とも言う

 

 

 

後半、「ミッション」や「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」、「アンタッチャブル」、「ニュー・シネマ・パラダイス」辺りでは、楽曲の素晴らしさに加えて、彼の仕事が全面的に高く評価される(本人の満足も含め)様子に、何度も涙してしまい、劇場を出た時には身体が軽くなっている感じさえした

 

 

お勉強も出来たし、モリコーネの人間ドラマも楽しめたし、映画音楽に対する思い入れも深まって、大満足の映画だった

 

オーケストラの音を楽しむためにも、機会があれば是非劇場で観ていただきたい作品

 

 

困るのは、この映画を観ると、まだ観たことの無い彼の初期の作品や、既に観た80-90年代の名作も、ひと通り観たくなってしまうこと

 

最初は、「時間がいくらあっても足りない、、」と思っていたけれど、初期の作品のいくつかは音質も悪いので、ひとまず80年代以降の作品を優先しようかと検討中

 

 

 

明日は、珍しくポーランド映画をご紹介

 

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