無人島シネマ

毎朝7時頃更新 忘れてしまうには惜しい映画 と雑記

1169. イン・カントリー

   

引用元:filmarks.com

 

サマンサ(エミリー・ロイド)は、高校を卒業したばかり

 

少し単純なところがあるけれど素直で性格の良い彼女は、まだ母親のお腹の中にいる時に父親がベトナムで戦死

 

一度も会えなかった父親について、母親からも話を聞くこともなく育ってきた

 

その母親は再婚するも、サマンサは新しい父親に馴染めず、同じくベトナム戦争を経験した叔父のエメット(ブルース・ウィリス)と同居している

 

ある日、部屋の片づけをしている時に父親の写真と手紙を見つけ、サマンサはベトナム戦争や父親についてエメットに尋ねるも、「知らなくていい」と冷たく対応されてしまう

 

同じく退役軍人の彼の友人たちに聞いても、同様にみな口を閉ざし、サマンサは驚きと不満で一層知りたい気持ちを募らせていく

 

 

 

サマンサの部屋には、ブルース・スプリングスティーンのポスターが貼られていて、彼の「I'm on Fire」が流れる

 

アルバム「BORN IN THE U.S.A.」に収められている、2分ちょっとという短い曲

 

つま弾くような静かなギターで始まる曲ながら、スタイルとしてはロカビリー

 

歌詞の内容は、父親と住む少女への熱い想いをぶつけている(エメットと同居しているサマンサに対する彼氏の心情とシンクロしている?)

 

こんな抑制の効いたロカビリーをシングルヒットさせてしまう彼の人気・力量も驚きだけど、ちゃんと音楽的に評価する市場も素晴らしいと思う

 

ベトナム帰還兵について歌われるタイトル曲が印象的なアルバムではあるけれど、この曲など地味ながら味わい深い曲も多く、今でも時々聴いている

 

 

 

ベトナム戦争の帰還兵たちのPTSDについては「ディア・ハンター」など他の作品にも描かれているけれど、本作の表現はより直接的だった

 

PTSD心的外傷後ストレス障害 post-traumatic stress disorder)の症状は、1930年代にはアメリカの精神科医によって認識されていたものの、ベトナム戦争後に多数の帰還兵がその症状を示したことによって認知と治療が進んだ(作品の中でエメットは、病院に行きたがらないけれど、、)

 

 

 

ブルース・ウィリスは、この前年(1988年)に「ダイ・ハード」のヒットによりブレイク、本作の翌年には「ダイ・ハード2」、他にもこの3年で6本の映画に出演(計9本)している

 

本当にご苦労様でした、という言葉しか思いつかない

 

 

明日は、久しぶりに劇場で観た話題作をご紹介

 

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