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1168. ジェイン・ジェイコブス - ニューヨーク都市計画革命 -

引用元:hulu.jp

 

アメリカ大都市の死と生」(1961年)の著者であり、都市の荒廃を告発する活動家でもあった、ジェイン・ジェイコブス

 

彼女が、マンハッタンの高速道路建設を巡って、ニューヨーク都市計画に絶大な影響力を持っていた「マスター・ビルダー」ロバート・モーゼスを闘った記録を収めたドキュメンタリー

 

ロバート・モーゼスの提唱する都市計画は、アメリカンモダニズムを背景にした、「高層ビルと自動車所有」を前提としたもの

 

これが当時の主流ではあったものの、ジェイコブスは「活力を失う街づくりが未来の廃墟を生む」として、そこに暮らす人たちの目線でモーゼスのプロジェクトに反対するアイディアを提唱する

 

彼女の提唱する4大原則は

 

  1. 各地区に主要な用途が二つ以上あり、外出の目的となること

  2. 古い建物と新しい建物が共存していること

  3. 街路は幅が狭く、各ブロックが小さいこと

  4. 人口密度が維持できていること

 

という、人々がつながりを持つ多様性のある街を目指しているもので、ル・コルビュジエに影響されたモーゼスの、機能を優先した近代都市計画とは相容れないものがあった

 

 

ジェイン・ジェイコブスは、ペンシルベニアの商業学校を卒業した後、貿易雑誌の会社の秘書からキャリアをスタートさせ、後に編集者となり、「ヘラルド・トリビューン」にも多くの記事を書いた

 

建築家のロバート・ハイド・ジェイコブスと結婚し、二人の息子を育てながら、自身の提唱するコンセプトと異なる都市計画に問題提起を続けた(数多くの建設プロジェクトへの反対活動で何度か逮捕されている)

 

 

マンハッタンの南側は、ソーホーやグリニッジ・ヴィレッジ、リトル・イタリーやチャイナ・タウンなど魅力的なエリアが多く、つくづくジェイコブスの存在と貢献に感謝するしかない

 

と同時にモーゼスらの功績も多く、どちらが善でどちらが悪という話でもなく、その時代、その街に見合った都市計画が求められているのだろうし、理念を持った「街づくり」が都市の景観だけでなく、そこに住む人の暮らし、また街の寿命にまで大きく寄与するのだと改めて認識

 

 

そんなことを考えながら、またニューヨークに行ってみたいなあ

 

 

明日は、PTSDについての映画を紹介します

 

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