無人島シネマ

毎朝7時頃更新 忘れてしまうには惜しい映画 と雑記

894. 東京家族

f:id:desertislandmovie:20220213101206j:plain

引用元:Yahoo!映画

 

2013年の山田洋次監督作品

 

子供たちはみな東京で独立、或いは嫁入りして、今では瀬戸内海に浮かぶ島にふたりで暮らしている老夫婦、周吉(橋爪功)ととみこ(吉行和子

 

ふたりは、その子供たちを頼って東京見物にやって来る

 

予定通りに品川駅に着いたふたりだったが、出迎えるハズの次男の昌次(妻夫木聡)は東京駅と勘違い

 

気の短い周吉は、とみことタクシーで東京郊外で開業医をしている幸一(西村雅彦)の家に向かう

 

昌次や、都内で美容院を経営している長女の滋子(中嶋朋子)らと一緒に久しぶりの一家団欒、元気な孫の顔も見られて、無事に上京一日目を終える

 

翌日は幸一がドライブに連れて行く予定だったものの、出発直前になって患者の容体が急変し、幸一は往診に出掛けてしまう

 

その後、滋子の家に行っても大雨が降ったりで(結局、義理の息子が駅前のスーパー銭湯に連れて行く)なかなか親孝行が叶わない

 

その翌日は、昌次が東京見物に連れ出しはとバスツアーに出掛けるも、お昼に入った鰻屋で、いつまでも定職に就かない昌次を周吉が窘め、険悪な雰囲気になってしまう

 

次の日は、滋子の自宅で商店街店主たちの集まりが予定されていることもあって、困った滋子は幸一と相談の上で、ふたりを横浜の高級ホテルに泊めることにする

 

 

と、この辺りまでは、小津安二郎監督の「東京物語」(1953年)を文字通り「なぞっている」風だなと思いながら鑑賞

 

正直なところ、余り盛り上がれなかったけれど、後半一気に(東京物語を忘れて)ストーリーに集中した

 

どうしても「東京物語」への思い入れが強いせいか、感覚の矯正(?)に一時間くらいかかってしまった印象

 

周吉に対しては無意識に「穏やかさの中の厳格さ」の様なものを求めてしまっていたけれど、考えてみれば60年経っているのだ

 

もし橋爪功が、笠智衆を完コピしていたら、それこそパロディにしかならない

 

この60年という時を越えて、今の時代の父親像を考えてみると、橋爪功の演技はこれ以上無いとさえ思う

 

しかし時代感の補正は最低限に絞られていて(熱海の旅館が横浜のホテル、尾道の実家が瀬戸内海の島など)、そこは山田洋次監督の挑戦だったのだろうし、小津安二郎監督へのリスペクトなのだろう

 

東京物語」がリアルタイムだったり、思い入れのある方にとっては、感覚の矯正をしているウチに観終わってしまうかもしれないけれど、その代り(?)「東京物語」を観ていない世代にはストレートに響く内容

 

 

それにしても「親が久しぶりに上京してきた時の対応」は、60年経っても変わらない問題なのかもしれない

 

しかし子供たちの準備のツメが甘すぎる(だから映画になるのか?)

 

 

ロバート・デ・ニーロ主演の「みんな元気」を観ると、この問題は日本だけではないことがよくわかる

 

 

 

明日は、野球選手の自宅に空き巣に入るという映画をご紹介

 

www.youtube.com