引用元:amazon.co.jp
1953年の小津安二郎監督作品
尾道で暮らす年老いた周吉(笠智衆)と、妻とみ(東山千栄子)が子供たちに会いに久しぶりに上京する
ところが子供たちは仕事が忙しいのを理由にあまり両親を構わない
それをみかねた次男の嫁、紀子(原節子)が仕事を休んで東京観光に案内し、ふたりは(内心淋しかっただろうに)満足な顔をして尾道に帰っていく
ホッとしたのもつかの間、その数日後にとみが危篤だという電報が届き、子供たちは駆け付けるも、翌朝にとみは亡くなってしまう
「東京画 」でヴィム・ヴェンダースが嘆いた、時の経過と共に家族愛が崩れていくさまは既にここに描かれている
50年代の日本の映画を理解するためには70年代、60年代の日本の作品で遡っていけば話は早いのかもしれないけれど、こうして海を越えて存在する小津チルドレンのフィルターを介して理解するのも(リスペクトも感じられて)面白かった
最初に本作を観たのは作品への興味というよりも、「昔の邦画の名作をおさえておこう」という学習モードな理由からだった
面白いとは思いながらも、しっかりお腹で消化できた納得感のようなものは希薄で「他の小津作品を続けて観てみよう」とは思えず、しばらくして再び本作にチャレンジすることにした
二回目もぼんやりとした手応えながらも、既に(半ば無意識に)魅了された感覚があった
そこから「麦秋」、「晩春」、「東京暮色」、そして「彼岸花」や「秋刀魚の味」、そして並行して小津映画に影響された海外の監督作品を観ていった
これが近道なのか、王道なのか、最善のルートなのかわからないけれど、本作から始められたことは結果からすると良かったと思う