無人島シネマ

毎朝7時頃更新 忘れてしまうには惜しい映画 と雑記

492. 隣人は静かに笑う

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引用元:amazon.co.jp

 

1999年のアメリカ映画

 

カテゴライズするならサスペンス・スリラー映画になるけれど、この手の作品にしては珍しく(失礼!)緊張感を失わずにラストシーンまで観ることができる傑出したクウォリティ

 

 

ワシントンDC郊外で大学教授として働きながら、男手一つで息子のグラントを育てているマイケル(ジェフ・ブリッジス

 

ある日、車を運転していると、目の前をよろめきながら歩いている少年が目に入る

 

マイケルが声をかけると、少年は手に酷い火傷を負っていたので、すぐさま救急病院に連れて行き、大事に至らずに済む

 

 

後に、その少年はブレディという名で、最近隣に越してきたラング家の息子だとわかる

 

設計技師のオリヴァー・ラングと妻のシェリルは、息子の命の恩人だとしてマイケルに感謝し、これからは是非密に交流させてほしいと言い、マイケルの恋人であるブルックも入れた四人によるつき合いが始まる

 

FBIで働いていたマイケルの妻は、ある事件に巻き込まれ殉死しており、彼女の死後、かつての教え子で今は大学院に通っているブルックと惹かれ合うも将来の約束は(息子のグラントが今でも母親の死を受け止められていないことなどから)していない

 

そんなグラントも、ラング家の子供たちと一緒に遊ぶうちに笑顔が戻り、マイケルは大いに安堵する

 

 

ところが、ある日ちょっとした会話からオリヴァーの身の上話に矛盾と怪しさを感じ、インターネットや電話の問い合わせなどで調査した結果、隣人の男が危険人物なのではという強い疑念に達する

 

 

 

 

最も印象深かったのは、マイケルが強い疑念に達し、それを最も信頼するブルックに伝えた時のふたりの感情の相容れなさ

 

決して見過ごすことはできない危険人物であることを理解し、その対応策を一緒に考えて欲しかったマイケルに対して、ふさぎ込んでいたグラントにやっとできた友達をそんな疑念で自ら失ってしまうのか、そもそも何の権利があって隣人のプライバシーを侵害するのかと言うブルック

 

近い将来夫婦になるかもしれないふたりが直面する意外な対立

 

 

興奮してまくしたてるマイケルの説明が下手だったのかもしれないし、マイケルの一言にブルックが過剰反応したのかもしれない

 

もし最初に疑念を持ったのがマイケルではなくブルックだったら同じように揉めただろうか?

 

大事な話だけに、相手に激しい感情を向けてしまった後では、なかなか軌道修正が難しい

 

その難しさを感じた時点で相手から少し距離を置く方が良いのだろうけれど、マイケルはそこまで客観視もできない

 

 

 

怪しい隣人の父親を演じたティム・ロビンスは俳優としてはもちろん、「デッドマン・ウォーキング」などの監督、そしてミュージシャンとして来日公演するするなど多彩な活動を行っている

 

ジェフ・ブリッジスも同じくミュージシャンとして、さらに写真家、画家としても活動している

 

様々な役をこなす俳優業にとって、こうした多彩な活動は純粋に有益なのだろうなあ