引用元:filmarks.com
1990年に公開された16年振りの続編
本作の公開はリアルタイムだったから、初回は劇場で鑑賞
「過去の名作」として観た前二作と比較すると、16年もの長い間隔が空いてしまったこともあって、「違和感がある」という声が当時多かった記憶があるけれど、個人的にはリアルタイムで楽しめる興奮の方が大きかった
ヴィトー亡き後、コルレオーネ・ファミリーを率いてきたマイケル(アル・パチーノ)
妻ケイ(ダイアン・キートン)との「裏社会から足を洗う」という約束を果たすためにシチリア復興のために多額の寄付を行い、バチカンから勲章を授けられるシーンから本作は始まる
そのバチカンと深くかかわっている欧州の投資会社の株を取得し、経営権を握ることで合法的なビジネスにシフトしていくことをマイケルは目論んでいた
マイケルに叙勲するバチカンの司教と、同じフレーズを魚釣りの時のおまじないとして念じるフレド(湖に浮かぶ小舟の上で銃殺される)のシーンが、いくら浄化しようとしてもマフィアの世界から逃れられないマイケルを暗示するように重なる
糖尿病を患い、年齢的にも無理ができなくなった自分の後継者として、息子のアンソニーが大学を卒業し経験を積むまで、マイケルは自らがファミリーを守るつもりでいた
しかし叔父のフレドが殺されたことをトラウマに感じている(父の裏の顔を知ってしまった)アンソニーには後を継ぐ意志はなく、大学を中退してオペラ歌手を目指す
そのアンソニーの初公演のためにシチリア島に来たケイを、マイケルが案内する場面がある
ケイとっても喜ばしい日に、「今更深く関わり合いたくない人」だったはずのマイケルが、父親に懐いている娘メアリー(ソフィア・コッポラ)の優しさで実現したサプライズによって、運転手に扮し、半ば強引に「元夫婦による一日シチリア観光」が始まる
父の生まれ故郷、そしてマイケル本人がファミリーとしての初仕事の後に身を隠した場所でもあるコルレオーネ村を訪れている間に、ケイの中で、それまでのわだかまりと、当初持っていたマイケルへの熱い想いが共存しつつ溢れていく
ふたりがテーブルでひと息つき(具体的な会話は無いけれど)これからのふたりの可能性を一瞬信じるシーンが印象的
つい、ヴィトー(マーロン・ブランド、ロバート・デ・ニーロ)に注目してしまうけれど、PARTⅢのハイライトは「マイケルの苦悩」でもあるので、そんな彼にとって微かな希望でもあったシチリアのシーンは、もっと膨らませて欲しかった
そして、自身の健康も危うくなったマイケルが、後継者に選んだのは「裏社会から足を洗う」どころか、ヴィトーの時代に逆行するかのような父親譲りの喧嘩っ早さのヴィンセント(マイケルの兄・ソニーと愛人との間にできた息子 アンディ・ガルシア)だった