無人島シネマ

毎朝7時頃更新 忘れてしまうには惜しい映画 と雑記

1186. 小さいおうち

引用元:studio.beatnix.co.jp

 

原作は「長いお別れ」などを書いた中島京子の小説

 

 

話は現代のシーンから始まる

 

大学生の健史(妻夫木聡)は、亡くなった大叔母タキ(倍賞千恵子)が住んでいた家にあるものを、両親と一緒に処分していた

 

するとタンスの中から「健史へ」と書かれた箱が出てくる

 

中には、健史が書くのを勧めていたタキの自叙伝があった

 

それは、亡くなる少し前に、健史が誤字を直したり、「恋愛の話も書いて」とか、「正直に事実を書いて」などリクエストをしながら応援していたもの

 

 

 

タキ(若年期:黒木華)が山形から東京に出て来たのは、昭和11年

 

女中として、おもちゃ会社の常務の平井(片岡孝太郎)の家に奉公することになる

 

東京の郊外にあるその家は、人目を引く「赤い屋根の小さなおうち」だった

 

平井の他には、妻の時子(松たか子)と幼い息子の恭一が住んでいた

 

家事はもちろんのこと、小児麻痺を患っている恭一の足をマッサージなどあり、仕事は大変だったものの、タキには寝泊まりする小さな部屋も与えられ、時子にも良くしてもらっていた

 

当時は、おもちゃ会社の業績も良く、平井家には社長や部下の出入りも多く、その中のひとりに東北出身で芸大卒のデザイナー・板倉(吉岡秀隆)もいた

 

体育会系の男たちの中で、板倉の風貌と言動は独特で、時々彼らの下品な発言にウンザリしていた時子は、ときめくものを感じていた(おそらくタキ自身も)

 

そんな中、社長が考えた会社に都合の良い縁談を板倉に、という指示が平井に入る

 

業績の良かったおもちゃ会社も、戦況の悪化に伴い金属の使用がままならず、またアテにしていた輸出による売上も叶わず、苦しい状況が続いていた

 

板倉と時子の、音楽や映画の趣味の合う仲を知る平井は「君ならうまく板倉クンに話せるだろう こういうのは女性が取り持つのが良いんだし」と、時子に任せてしまう

 

「結婚はまだ早い」と考える板倉は良い返事をせず、時子は説得するために何度も板倉の下宿に足を運ぶことに

 

そのうち、下宿先の大家さん宅に出入りしている酒屋の男(平井家にも出入りしている)が時子の姿を見てしまい、そのことをタキに伝える

 

そんな中、板倉に召集令状が届き、平井と時子、そしてタキは挨拶に来た板倉と悲しい別れをする

 

その翌日、ひとりで餞別を渡しに板倉の下宿に行こうとする時子だったが、タキが「他の人の目がございます」と必死に説得する

 

結局、板倉に(平井家に)来てもらうよう時子が手紙を書くことにし、タキはそれを持って家を出る

 

 

 

この自叙伝を読んだ健史は、この後自分で調べ、方々に足を運び、タキが書いたこと、書かなかったことを知り、生涯独身を貫いた大叔母の想いに触れる

 

 

シリアスな大作を想像して観始めた(そしてとの通り集中して観た)にもかかわらず、観終わった瞬間に「もっと覚悟して観れば良かった」と思わせる映画だった

 

必ずまた観ようと思う

 

その前に原作も読みたい

 

 

明日は、アメリカでの養子縁組の難しさを描いた作品をご紹介

 

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