引用元:yahoo.co.jp
本作のエンドロールが流れる前に、こう表示される
「1945年から 1998年にアメリカで養子縁組された、数万という子供たちのほとんどは、市民権をもっていない」
「市民権を持たない養子は今後も増える見通し」
アメリカでの養子縁組の厳しい現実を描いた(いくつかの実例をベースに作り上げた)フィクション作品
アントニオ(ジャスティン・チョン)は、生まれたのは韓国ながら、3歳の時にアメリカ人家庭に養子として引き取られ、今までずっとルイジアナ州のバイユー(「三角州地帯に流れる小川」を意味する)と呼ばれる地域で暮らしてきた
養父母は何代も替わり、虐待を受けたこともあるアントニオは、窃盗の前科もありながら、今ではタトゥー・アーティストとして生計を立てている
妻のキャシー(アリシア・ヴィキャンデル)と、彼女の連れ子・ジェシーを養うには苦しい収入だったが、今キャシーは自分の子を妊娠していて、これからはさらに稼ぐ必要があった
そんなある日、スーパーマーケットの中で、「バイクを売ってハワイに家族旅行に行こう」と提案するアントニオと、「そんな余裕、あるわけないじゃない」と反対するキャシーは、論争するウチに声を荒げてしまう
偶然、店内に居たふたりの警官の目に留まり、その場を強引に立ち去ろうとしたアントニオは身柄を拘束されてしまう
こともあろうに、二人のうちのひとりはキャシーの別れた元夫・エース(マーク・オブライエン)で、もうひとりはアントニオがアジア系と見るや敵意ムキ出しな男で、アントニオは過去の書類に不備があることもわかり、韓国への強制送還が言い渡される
数十年前の書類の不備は(自分ではなく)当時の養父母による過失で、自身は真面目に生活してきたアントニオは、裁判で争うことにするも、犯罪歴もあって非常に不利な状況に追い込まれる
しかも弁護士費用の5,000ドルを工面することも出来ず、アントニオとキャシーは途方に暮れる
アントニオは、不幸な生い立ちも乗り越え、今では妻と娘を愛する良い父親ではある
強制送還に至る経緯も、不運にも悪意のある人たちに関わってしまったとも言える
しかし、最後まで彼に感情移入して観ることができなかった
理由はネタバレになってしまうから書かないけれど、、
韓国系アメリカ人の苦労という面では「ミナリ」を思い出せ去る(ミナリは80年代の話で舞台はアーカンソー州)
アントニオが偶然知り合い、親しくなったベトナム人・パーカー(リン・ダン・ファン)に招かれたパーティーで、ステージ上のバンドから歌のリクエストをされたキャシー
バンドに曲を伝え、歌い始めた曲が「ブルー・バイユー」
ロイ・オービソンがオリジナルで、リンダ・ロンシュタッドのカバーでも有名な曲
このふたりが歌っているという事実が「歌の上手い人が歌う曲」ということを示しているけれど、ここではキャシー役のアリシア・ヴィキャンデルが素晴らしい歌声を披露している
明日は、70歳の誕生日を描いた作品をご紹介