無人島シネマ

毎朝7時頃更新 忘れてしまうには惜しい映画 と雑記

1122. 声優夫婦の甘くない生活

引用元:longride.jp

 

運命は踊る」、「ハッピーエンドの選び方」以来のイスラエル映画

 

原題はヘブライ語で「קולות רקע」=background noises

英題は「Golden Voices」

 

 

 

1989年にベルリンの壁が崩壊した翌年、ヴィクトル(ヴラディミール・フリードマン)とラヤ(マリア・ベルキン)のユダヤ人夫婦は、ソ連からイスラエルに移住を決意する

 

ソ連に居た時には、国内で上映される外国映画のロシア語吹替をする声優として活躍していたふたりだったが、ここイスラエルでは(近年ソ連から多くの移住者があるというのに)そうした職業は存在しなかった

 

それでも新天地で食べていくために職探しをするが、年老いたふたりには体力を使う仕事もできず、なかなか仕事が決まらない

 

そしてラヤはテレフォンセックスのオペレーターの仕事を始めるが、ヴィクトルには「電話で化粧品のセールスをしている」と嘘をつく

 

ヴィクトルも何とか吹替の仕事を得るも、それは違法な海賊版レンタルビデオだった

 

 

 

当初「思想的問題で」公開禁止になりかけた「8 1/2」を、ヴィクトルが検閲官を説得して公開に漕ぎ着けたエピソードなど、当時のソ連に居た人たちにとって、海外映画がどれほどの意味を持っていたのかがうかがい知れる

 

舞台は100%イスラエルながら、当時のソ連の様子や、ふたりがどんな夫婦だったのか、様々なシーンから想像させられるところが面白い

 

 

邦題は少し親切で良いけれど、ソ連からイスラエルへの移住の大変さを描いているから、最後は「甘くない移住」にすれば良いのに?

 

と一瞬思ってしまったけれど、フェリーニに引っかけて「甘くない生活」なのだろう

 

 

明日は、監督の次作が楽しみな映画をご紹介

 

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