引用元:amazon.co.jp
銀行員の咲子(西田尚美)は、幼い頃からお金が大好き
「そんなにお金が好きなら銀行にでも勤めれば?」
という家族の冗談をそのまま受け取って(!)、お札に囲まれて働くという幸せな毎日を過ごしていた
しかし所詮は他人の金
「銀行強盗の人質にされて、その分け前にあずかれないかなあ」
と勤務中に妄想していたら、本当に銀行強盗に拉致されてしまう(!!)
5億円を奪った犯人は、咲子を車のトランクに押し込め逃走するも、山中で横転し、車は爆発炎上してしまう
咲子は爆発の際にトランクから飛び出し、落下した川に流されたところを発見され、九死に一生を得る
犯人は死亡し、5億円も燃え散ってしまったと思われていたが、咲子の記憶では(大きな淵のように)水位が深くなったところに黄色いスーツケースが沈んでいた
咲子は、図書館に行き(銀行内の防犯カメラによる)報道写真を見て、黄色いスーツケースは犯人が銀行から逃走する際に車に積み込んだものと確信する
そこからの咲子は、
・銀行を辞め、一人暮らしを始め
・スーツケースの在り処を探すために、地質学を学ぶことを決め
・大学受験の勉強をし
・入学後、高額な測量機器を購入
・スーツケースの在り処まで辿り着くために、ロッククライミングや水泳教室に通い
・お金がなくなってスナックで働き始め
というハチャメチャぶり
咲子のキャラクターを表現するシーンとして、男性から「コーヒーでも飲みに行こうか」と言われると
「奢りですか?だったらその分のお金ください」
という台詞が、学生の時にも、大人になってからもある
本作公開の3年前の流行語にもなった「同情するならカネをくれ」の影響(?)も感じさせる
この頃、アジア通貨危機とも重なって北海道拓殖銀行や長期信用銀行、山一證券や三洋証券などの大手金融機関が次々破綻し、邦銀の格付けが引き下げられるだけでなく、ジャパン・プレミアム(海外で資金を調達する際に、日本の銀行は通常よりも高い利率になる)なるものも生まれた
真摯な「モノづくり」だけで勝負できない時代が始まり、日本がズブズブと沈み始めた時期
ドラマや娯楽映画にも、こうした背景から自虐的な演出が必要とされたのだろうか?
個人的には咲子の拝金主義(?)的なエピソードそのものよりも、その「常軌を逸してた」悪ノリ感が楽しかった
最初は「誰しもが持っている感覚が少し過剰なだけ」と思いながらコメディ映画として観ていた(自分もどちらかといえばコッチのタイプかも、と思いながら)けれど、途中から、程度の問題ではなく種類が違う風に感じてからは、ホラー映画にも感じる不思議な感覚だった
明日は、ダコタ・ファニング主演の作品を紹介します