無人島シネマ

毎朝7時頃更新 忘れてしまうには惜しい映画 と雑記

499. ゆめのまにまに

 

写真は渋谷ユーロスペース入り口

 

渋谷駅からユーロスペースに向かう文化村通りも、すっかり師走な様相

 

最近はインバウンドも増えてきて、一層騒がしくなってきた

 

その一方、館内は落ち着いた雰囲気で、他の人と隣り合わせることなく中央の席で鑑賞

 

 

 

浅草に実在する骨董屋「東京蛍堂

 

店主の和郎(村上淳)は全国への買い付けもあったりなかったりで不在がち

 

店番は専らバイトのマコト(こだまたいち)に任されている

 

コロナ過での営業で客足も鈍い毎日ではあるけれど、仲見世の店主や町内会の人たち、そして骨董コレクターなどがちょくちょく店を訪れる

 

 

残暑の厳しいある日、何だか事情を抱えていそうなひとりの女性・真悠子(千國めぐみ)が店にやって来る

 

浅草寺や観光のついでに立ち寄った風でもなく、目的買いでもなさそうで、しばらく滞在しては帰って行き、また翌日もやって来る

 

 

「気になる物があったら知らせて」と、さり気なく声を掛けるも、真悠子の反応は薄く、増々マコトは彼女の存在が気になっていく

 

 

 

まるでドキュメンタリー映画の様に淡々としたシーンが続き、大きな出来事もなく、時間が贅沢に流れていく

 

登場人物は、みな穏やかなキャラクターながらも一癖あり、その癖を直そうとするでもなく正直に折り合いをつけながら(でも時々迷ったりしながら)暮らしている

 

下町浅草といえば、押しの強そうな(そしてクチの悪い)人物が登場しそうではあるけれど、本作にはそういう人は一切登場しない

 

最後の方にあるキスシーンは、話の流れ的にも、状況的にも、「そこでそうなる?」的な、必然性の無い感じなのに、妙なリアリティがあって、脳裏に刻み込まれてしまった

 

 

サウンドも映像も、輪郭のはっきりした、高いクウォリティを感じさせる作品

 

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