無人島シネマ

毎朝7時頃更新 忘れてしまうには惜しい映画 と雑記

734. 絶唱浪曲ストーリー



 

久しぶりの横浜シネマリンにて鑑賞

 

最近はご無沙汰しているけれど、寄席の出し物といえば、落語に講談、漫才に手品、紙切り、コントに漫談など、(寄席だから当然だけど)好みに関係なく、よく楽しんだ

 

最初は、そうでもなかった出し物でも、何度か見る(聞く)ウチに、その楽しみ方が身についてくる感覚がある

 

その中で、馴染むのに最も時間がかかるのは(個人的には)浪曲だという気がしていた

 

 

 

港家小柳に魅了され、浪曲の世界に飛び込んだ港家小そめ

 

彼女が入門してから、浅草木馬亭で名披露興行を開くまでの日々を追ったドキュメンタリー映画

 

川上アチカ監督は、港家小柳浪曲に魅かれ、本作を8年かけて完成させたという

 

 

 

ちんどん屋に弟子入りしていた港家小そめが、浅草で浪曲に、そして小柳の芸に惚れ込み、弟子入りし、周囲から「本当に弟子入りが好きだねえ」と言われながらも、浪曲を学び、かつ高齢の師匠・小柳の生活のサポートも行うという、特殊な環境をカメラが追いかける

 

やがて小柳が亡くなり、曲師(三味線と合いの手を入れる人)の玉川裕子が、小柳に替わって、小そめを浪曲師として指導し、ついに名披露目興行の日を迎える

 

とはいえ、玉川裕子も90代で、生前の小柳と同じように、小そめの世話になるという、まさに二人三脚

 

 

 

 

この映画は生活や仕事に慣れちゃって、飽きちゃって、嫌んなっちゃって、辞めたくなっちゃって、立ち止まりたくなっちゃった・・・・・・そんな時に観るといいクスリになります。誰にでもあった「初心」が浪曲でくすぐられて、いい塩梅。はい、ちょっと元気出た。

                       春風亭一之輔(落語家)

 

 

このコメントの通りだなと

 

 

シネマリンでの初日とあって、上映後には川上アチカ監督のトークショー

 

 

小そめが、引退した小柳の自宅を見舞い、ふたりが会話する場面

 

監督はカメラを回しながらも、小柳の顔は撮らず、その手の動きを追う

 

曰く「自宅に伺った時に、港家小柳ではなく、(本名の)岩橋利江さんであったら、カメラは回さない、という覚悟だった」という話には、ドキュメンタリー映画を撮る方の矜持を感じた

 

 

 

明日は、スペインの影が見える作品を紹介します

 

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