引用元:kuhaku-movie.com
「公開時に劇場で、」
と思いながら、気がついた時には上映館が小倉の映画館*のみだった
地元のスーパー「アオヤギ」でマニキュアを万引きしようとした女子中学生の添田花音(伊東蒼)は、店長の青柳直人(松阪桃李)に捕まり、店の事務所に連れていかれる
ところが花音は直人の隙をついて事務所を抜け出し、全速力で沿道を駆け出す
直人も必死で追いかけていたところ、花音は急に国道を横切ろうとして乗用車に轢かれる
フラフラと起き上がった花音だったが、反対車線によろけたところを今度はトラックに轢かれ即死する
期待値が高かったこともあって、途中までは冷ややかに観ていた
父親・充役の古田新太は頑固な漁師で、周囲とのトラブルが絶えず、別れた妻は再婚したこともあり花音と暮らしてはいたものの、いつも高圧的な態度で娘の言うことに耳を傾けることもない
店長の直人は、親の店を半ば嫌々継いだ青年で、無気力で覇気が無く、客が減り続ける状況にも仕方がないと諦めている
そんな直人の味方になろうとするパートの麻子(寺島しのぶ)は、正義感をふりかざして周囲から直人を守ろうとする
花音の学校は、とにかく大事になるのを嫌う校長の元、父親を何とかなだめることしか頭になく、そしてマスコミは視聴者が喜びそうなネタを狙って都合の良い様に歪曲する
という風に、役に忠実すぎるキャスティングな気がして、演技も過剰に映った
この印象が一変したのは、最初に花音を轢いた乗用車を運転していた女性(野村麻純)が、何度も謝罪しようとしたのを充に拒まれた末に自殺してしまい、その葬儀に充が訪れたシーン
入口に立つ充が見えた瞬間に周囲がザワつく中、立ち上がり充のもとに向かう母・緑(片岡礼子)
緊張が走る中、親族たちは緑を止めようとしたり、「冷静に」と声を掛ける
そこで緑が放った台詞で、充にも大きな変化が見られ、それが周囲にも波及していく
このシーン以降、ストーリーに引き込まれ、登場人物に感情移入しながら最後まで鑑賞
何かがわかりやすく逆転するわけではないけれど、このシーン以降、充が元妻(田畑智子)に謝ったり、直人も少しは腹を割って話せるようになったり、担任の今井(趣里)が花音が描いた絵を届けに充の元を訪れたりという、それぞれが一歩踏み出すことで気持ちが通い始める
まさに局面を変える台詞だった
↓ の予告に台詞の一部があるけれど、これではまったく伝わらないから予告には入れないで欲しかったな
* 小倉昭和館:1939年開館の老舗映画館、旦過市場の火災で焼失するも、その後多くの支援もあり再建されている
明日は、アル・パチーノ主演作品をご紹介