引用元:filmarks.com
2021年のシーズン、大谷翔平が46本塁打、26盗塁、そして9勝(2敗)156奪三振という大活躍をしたことで、MLBどころか野球に興味のない人たちも「ベーブ・ルース以来の」というニュースを目にしたことだろう
ところがそのベーブ・ルースと同じくらい、或いは(特別な基準ではなくある)それ以上とされる唯一の選手、タイ・カップの知名度は日本ではかなり低いかもしれない
通算打率.367はMLB記録(.400以上のシーズンは3回)
首位打者12回、盗塁王6回、本塁打王1回 タイトルに輝いているけれど、彼より9つ年下のベーブ・ルースは
本塁打王12回、打点王6回、首位打者1回 と嘘のように「ふたりが同じくらい偉大な選手だった」ことを示している
しかし素行の悪さはありながらもファンに愛されたベーブ・ルースに比べ「最高の技術と最低の人格」と呼ばれたタイ・カップ
映画「フィールド・オブ・ドリームス」の中で往年の名選手が野球場に戻って来るシーンでも
「タイ・カップもプレーしたがっていたが、生前みんなあの野郎には愛想が尽きてたから、シカトしてやったさ」
という台詞があるくらい
そんな彼の自伝を書いて欲しいと直々に頼まれた記者のアル・スタンプ(ロバート・ウール)
アルは、伝説の名選手タイ・カップ(トミー・リー・ジョーンズ)からのオファーとあって意気揚々とジョージア州の自宅を訪ねると、その性格からか家族にも友人にも疎まれ孤独に、また体調が優れないというのに薬をウィスキーで流し込むような荒れた生活をしていた
そして並外れて自尊心の強い彼は「気高く最高の技術を持った選手」として書き進めるようアルを拳銃で脅す
仕方がなくアルは昼間は原稿用紙に「名選手として」書き、夜はホテルのメモ帳やレストランのナプキンに「リアルな」タイ・カップを書いていく
1994年のアメリカ映画
映画の中でも彼がお金には困っていない様子が描かれる
彼の才能は野球だけではなく、引退後もコカ・コーラ社やゼネラルモーターズ社(の前身)などへの株式投資によって巨額の富を築いていた
年老いて身体の自由が利かなくなると(助け合いではないけれど)周囲と友好的にやりとりするだろうに、タイ・カップはお金にモノを言わせて憎まれ口を叩き続けながら生きていく
もし彼が裕福でなかったら性格を変えるチャンスになったかもしれないし、更に孤立した晩年になっていたかもしれない
現在では彼の名前(日本語表記)は、忠実にタイ・カッブとされているけれど、以前は(本作の邦題も)タイ・カップ
1961年7月17日に74歳で亡くなっている
明日は、劇場公開を逃してしまった、重苦しい邦画をご紹介