引用元:amazon.co.jp
タイトルは、1956年のホロコーストを告発したフランス映画「夜と霧」から
当時、公開から4日で打ち切りになった問題作(打ち切りの理由には、観客の不入りや、当局からの圧力など諸説あり)
安保闘争で知り合った記者の野沢(渡辺文雄)と学生の玲子(桑野みゆき)の結婚式でのこと
招待されていない太田(津川雅彦)が式に乱入してくる
太田は玲子の元同士で、6月15日に多くの負傷者や逮捕者を出した機動隊とデモ隊の衝突で逮捕状が出ている身だった
彼は式に参加している皆に向かって、デモに参加したまま消息を絶った北見(味岡亨)のことを語り始める
それから他の参加者たちは学生運動のあり方、そして安保闘争についてそれぞれに語り始める
撮影中、上映打ち切りを予期していた大島渚は、できるだけ早く上映開始しようとカット割りを抑えた長回しで、多少台詞を間違えようとも中断しなかったという
確かに長い台詞の途中で噛んだり、言い直したりするシーンも多く観られるけれど、その分臨場感が増しているようで気にならない
もちろん全体的な粗挽き感や、カメラワークや照明の問題もあって、映画作品としての完成度は低いけれど、リアリティ溢れる当時の貴重な記録(フィクションとはいえ当時の不安定な日本をありのまま)を残すことに成功している
学生運動の是非について、何十年も経った今、語るのは不公平な気がする(自分なら活動に反対していただろうなんて言えない)けれど、もしも自分がその中にいたらどうしていただろうか、とはぼんやり考えてしまう
しかし個人の意志を越えて、というか個人の意志に大きく影響を与えるものとしての「周囲の環境」と、そこで得られる情報量によって育まれる個人の考えも変わる、と考えると「もしも自分がその中にいたらどうしていただろうか」と想像することにさえ限界を感じてしまう
それにしても披露宴の席にまでこうした議論を持ち込むなんて、迷惑極まりない(笑)