無人島シネマ

毎朝7時頃更新 忘れてしまうには惜しい映画 と雑記

829. 海辺の金魚

引用元:tomawari.jp

 

母親が大きな事件を起こし、幼い頃から児童養護施設で育てられた花(小川未祐)

 

施設の仕切っている高山さん(芹澤興人)や、同じ様にここに連れて来られた仲間たちにも恵まれ、18歳になった花は、大学への進学、そして施設からの自立を半年後に控えていた

 

そんなある日、晴海(花田瑠愛)という8歳の少女が入所して来る

 

周囲に対して過敏に反応する晴海の姿を見て、花は10年前の自分を重ね合わせていた

 

 

 

鑑賞前に、一切の情報を入れないで観始めたせいか、(唯一の情報である)タイトルが意味するところは何だろうか?と気にしながら鑑賞

 

ストーリーは多少の広がりを見せながらも、同時に花個人の内面へと迫っていく感もあり、その相反する構図の新鮮さに魅かれた

 

タイトルの意味するところや、それを暗喩するような最後のシーンなど、観客側を心地よく考えさせてくれる

 

また、カメラワークや、役者のちょっとしたしぐさ、表情まで丁寧に拾っている様子が、ひとつひとつのシーンで感じられて、(よくある設定、ストーリーではありながらも)個性がある作品に感じられた

 

 

他に印象的だったのは、母親に引き取られた晴海を心配する花が、事務的に手続きを進めてしまった高山に向かって、感情的な発言をするところ

 

晴海の気持ちが心底理解できると信じている花にとって、その対応は「ダメに決まっている」と言い切れるもので、つい反抗的でキツイ言葉を放つ

 

その直後に(これが、今まで育ててくれた高山に対する態度なのか?という)迷いと後悔の混じった表情に、一瞬変わった(気がする)

 

このシーンに、難しい環境の中で、自分らしさを保ちながら花が立派に高校を卒業するまでに成長したことがうかがえて、グッときてしまった

 

 

 

明日は、10万人以上を集めたフリーコンサートの模様を収めた作品をご紹介

 

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