無人島シネマ

毎朝7時頃更新 忘れてしまうには惜しい映画 と雑記

706. THE CROSSING~香港と大陸をまたぐ少女~

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引用元:twellv.co.jp

 

新卒で入社した会社は、いつか海外で働きたいという希望もあって、海外(の現地法人)に製品を輸出しているところだった

 

国内工場に加えて、香港にも新しい工場があり、(20歳近く年の離れた)上司は、その工場によく出張していた

 

 

帰国すると、会社の近くの居酒屋で、現地の話をいろいろと聞かせてくれたけれど、信じられないくらいに内容を覚えていない

 

まだ学生気分の抜けない自分には、あまり興味のない話だったのかもしれない

 

今思えば随分もったいない話ではあるけれど、上司と部下とはそんなものだろう

 

唯一、憶えているのは、香港の奥に深圳という街があり(↓地図)、出張に行く度に驚くほど発展しているということ

 

偽物ブランド・バッグを売るマーケットなどで賑わう中心地から、ほんの少し離れるだけで農村だと聞き、「一体どんなところだろう?」と想像した記憶がある

 

 

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2018年の中国映画

 

深圳と香港

 

この隣接する(↑ の地図を見ても重なっている)街を通学で行き来する女子高生のペイ(ホアン・ヤオ)

 

彼女の母親は深圳に、そして父親は香港に住んでいる(法的な夫婦ではない)

 

同居している母親は、友達と自宅で麻雀に明け暮れる毎日で、父親は彼の家族と香港に暮らしトラックの運転手をしている

 

そんな環境で過ごすペイにとって、唯一の楽しみは友達のジョー(カルメン・タン)と遊ぶこと

 

クリスマスに彼女と一緒に北海道に行って温泉に入り、日本酒を飲む約束のために必死で小遣い稼ぎをしている

 

 

 

ペイがジョーといる時に少し危険な印象の青年ハオ(スン・ヤン)に出会う

 

ジョーは彼に夢中になりつき合うようになるも、ハオは飲食のバイトの他に「運び屋」の仕事もしていた

 

ペイが越境通学していることを知り、iPhoneを香港から深圳に持ち込む仕事を(ジョーには内緒で)頼まれる

 

 

まだiPhone6の販売が中国本土で認められていなかった時期なのだろう

 

それにしてもこの時期にしては緩いセキュリティ(どこまでリアリティがあるのだろう)

 

深圳と香港のシーンが頻繁に交差するも、単純に風景だけではどちらか判別するのが難しい(学校に居るから香港、自宅だから深圳などと認識しながら鑑賞)

 

それくらい発展してきた深圳、その過程には深圳の安い人件費を利用してきた香港、そして個人レベルでも香港の発展した経済や文化を享受してきた深圳の人たち、また深圳に別宅を構えてきた香港の男性などがストーリーの中で自然に垣間見える

 

もちろんルール違反にはリスクがあるけれど、これほど国や周囲が激動している中ではそれらと無関係に地道に暮らすことも難しいのか?と考えさせられた

 

 

明日は、独特な面白さのある、日本のシチュエーションコメディを紹介します