引用元:tsutaya.tsite.jp
今から25年前の1997年11月21日
急激な外貨流出に対応不能となった韓国政府は、国際通貨基金(IMF)に緊急融資を申請する
タイから始まったアジア通貨危機の一連の流れで語られることもあるけれど、慢性的な借入金の長期の繰り越しや与信の甘さなど、韓国固有の問題が一部の企業の倒産によって露呈、ノンバンクはすべて営業停止となり金融システムが完全に麻痺した
数年後、実際に何人かの韓国人から「1997年のショックは大きかった」とか「あれで人生が変わった」という話を聞いた
1988年にソウルオリンピックも成功させ、当時は国民の85%以上が「自らを中間層」だと考えていた韓国にとっては、かなり衝撃的な出来事
経済成長が続き、楽観ムードに溢れていた1997年のソウル
韓国銀行の通貨政策チーム長のハン・シヒョン(キム・ヘス)は、危機的な兆候を察知し、1週間以上も前に上長に報告書を提出していた
やっとその報告書が読まれ、事の次第を理解した上司から至急の対応を求められ奔走する
彼女が試算した国家破産までの猶予期間はわずか7日間
ところが周囲の反応は鈍く、「国民に状況を知らせなければ」という彼女の主張も、理解力と行動力の無い官僚たちによって退けられてしまう
時を同じくして、食器を作る町工場を営んでいるガプス(ホ・ジュノ)は、百貨店から大型契約を提示される
それは(苦しい生活から抜け出せる)涙が出るほど嬉しい話だったが、「支払いは手形で」と言われ、ハンコを押すのに躊躇してしまう
また金融会社課長のユン・ジョンハク(ユ・アイン)は、危機の兆候に気づき即座に会社を辞め、抱えていた顧客に米ドルを可能な限り買うよう説得を始める
本作がヒットした理由には、スリリングなストーリーもさることながら、今の韓国経済が1997年と酷似してきたこともある
本作では描かれていないけれど、当時の韓国は最終的にIMFにすがりつく前に、日本に通貨スワップの依頼を断られている
それもあって、通貨危機が「日本のせいで」起きたと考えている韓国人も多いけれど、アメリカから拒否するよう要請があったことや、IMF = US的な部分もあることからすれば、この結果は不可避だったと言える
今の韓国経済は、当時よりも強固な基盤の上に成り立っているとしても、最近のアメリカや日本に対する姿勢を見ていると、1997年の学びは何処に?という気もする
韓国に乗り込む冷徹なIMF専務理事役をヴァンサン・カッセルが演じている