引用元:amazon.co.jp
2009年の韓国映画
1975年の韓国
ソウルにある百貨店などが建つアプクジョンドンでさえ、当時は高層ビルのすぐ傍で牛が畑を耕していた頃
父さんと一緒に楽しく遊んでいたジニ(キム・セロン)
「明日は旅行に行こう」と、新しい洋服と靴も買ってもらい、最高に嬉しい気持ちでいた
そして次の日の朝、ジニは孤児院に預けられ、父は居なくなってしまう
ここに居る他の子供たちと違い、自分は父さんが迎えに来ると信じて疑わないジニは、お世話をしてくれる人にも仲間にも馴染もうとせず、施設を抜け出そうとする
もちろん行くアテもなく、父の連絡先もわからないジニは、次第にここで暮らすしかないという現実を理解し始めていく
9歳の時にフランス人夫婦に引き取られた、ウニー・ルコント監督の実体験がベースになった作品
無邪気で逞しく、そして繊細な子供の心情と、その目に映る大人たちの様子がしっかり捉えられている
その反面、可愛い娘を手放さざるを得なかった、親の背景については描かれていない
後半、施設の仲間が次々と養子に貰われていくシーンを観ると、養子を引き取るというのは大きな社会貢献であると同時に、そこに至ってしまった経緯に関しては複雑な心境になってしまうし、(いろんな国で家族間の諍いや不和の悩みがある中で)人間にとって家族の存在がどれ程大きなものかを考えさせられる
韓国では、1950年代から約20万人の養子が、海外の里親の元に送り出されている
(現在では、法律で国内の里親を探すことが定められている)
日本では、養子には普通養子縁組と特別養子縁組があり、養親だけでなく実の親とも法的な親子関係を維持する普通養子縁組に対して、特別養子縁組では実親との関係は完全に解消される
その特別養子縁組の制度は、1987年に作られ、近年の成立件数は
平成29年 616件
平成30年 624件
令和元年 711件
と上昇傾向にある
国も時代も違うので単純比較できないけれど、先述の20万人という数字の大きさがよくわかる
また映画と違い、約8割のケースが3歳になるまでの間に成立しているという
施設に入る人数を分母、(養子縁組の)成立件数を分子だとすると、その差が小さい程良い社会(分母はもちろん少ない方が良い)だろうから、成立件数の推移を見ていると、この変化をどう捉えていいものか複雑な気持ちになってしまう
明日は、1970年公開の西部劇をご紹介