無人島シネマ

毎朝7時頃更新 忘れてしまうには惜しい映画 と雑記

624. 幼な子われらに生まれ

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引用元:eiga.com

 

2017年公開ながら、まったく作品の存在を知らず、今回初めて鑑賞

 

 

バツイチの40歳、田中(浅野忠信)にとって、家庭が一番

 

仕事ができないワケではないけれど、必要以上には働かず、付き合いも断って家に帰る

 

今は再婚し、新しい妻の奈苗(田中麗奈)と、その連れ子である二人の娘と暮らしを、何よりも優先している

 

自分の一人娘沙織は、同じく再婚している前妻友佳(寺島しのぶ)が引き取り、今は年に数回だけ会っていた

 

 

田中は、「これから家庭を築いていくんだ」と意気込んでいたところ、奈苗の妊娠がわかる

 

ところが、これを境に、長女の薫の態度が一変

 

「この家、嫌だ」、「偽物の家族だから」、「本物の父さんに会いたい」

 

と辛辣な言葉を投げつけるようになる

 

 

奈苗は妊娠のストレスを抱え、会社では屈辱的な出向を命じられ、そして薫はさらに手が付けられなくなってくる

 

そんな折、前妻の夫が病でこの先短いことがわかり、沙織までも不安定になってしまう

 

 

 

 

弱い立場だから、子供だから、被害を被ったから

 

何をやっても(言っても)許されるのか?

 

そしてその標的になった者は

 

無制限、無条件に耐え続けるしかないのか?

 

 

 

カッとして口から出た言葉や、幼い子供の無邪気な発言で、気まずい状況が更に悪化していく

 

 

決して楽しい映画ではないけれど、大きく心を揺さぶられるシーンが何度もある

 

重松清の同名小説が原作

 

最後は、何とか「人間、捨てたもんじゃないな」と思わせてくれるけれど、つくづく

 

「オトナといっても(自分も含めて)大したものではないな」と改めて思う

 

つまらないことで怒って、心配事が増えると途端に余裕がなくなって、大事な家族にさえ気を配れなくなって、、

 

そんなオトナたちが結婚して、仕事して、家事をして、子育てして

 

そんな生活の中で、ひとつ歯車が狂えば、、

 

という様子が、リアリティたっぷりに描かれている

 

 

自分を戒める為に、数年後に観直したい作品

 

 

 

ちなみに本作のロケ地の中には、西宮市名塩(なじお)にある斜行エレベーター(高低差60m!)がある

 

同じく兵庫県にある、摩耶山へのケーブルカーが、印象的に使用された「ハッピー・アワー」を思い出してしまった

 

こういう乗り物に身を任せていると、自然と考え事をしたり、普段より重い会話になるのか、撮影で使いたくなるのかもしれない

 

 

 

 

明日は、1970年代のソウルが舞台の作品を紹介します