引用元:amazon.co.jp
2014年のアメリカ映画
先日ご紹介した英BBCが選ぶ21世紀の映画ベスト100で堂々の第5位に輝いた作品
評判が良すぎるのと子供が主演の作品という理由で、ずっと観るのを後回しにしてきた作品
原題は「Boyhood」
6才の少年メイソン・ジュニアは、姉のサマンサと一緒に母オリヴィア(パトリシア・アークエット)の地元ヒューストンに引っ越しをする
離婚した父親のメイソン・シニア(イーサン・ホーク)は一家を養う責任も負わず、音楽活動にかまけていた
曲作りのためとアラスカに旅立ったかと思ったら、しばらくしてまたテキサスに戻ってきて週末に会いたがっては遊んでくれる
だらしなくてタバコ臭くて我が儘ながら、憎めない性格の父親を子供たちは嫌いにはなれなかった
オリヴィアは家族を養うためにヒューストンの大学で心理学を学び、教授のウェルブロックと再婚する
尊敬する教授の連れ子ふたりと計6人での新しい生活は快適で、ここから生活を立て直せると安堵する
一方のメイソン・シニアも恋人と再婚し、男の子も生まれる
メイソン・ジュニアとサマンサに新しい父親に馴染んでほしいと願うオリヴィアだったが、徐々にウェルブロックの過剰に子供たちをコントロールしようとしたり、それが叶わないと大声を上げるようなころが目立つようになる
ついには酔った上で子供たちにグラスを投げつけ、身の危険を感じたオリヴィアは自分の子供ふたりを連れて逃げ出す
タイトルの通り、息子のメイソン・ジュニアが6才から18才になるまで、12年かけて断続的に撮影が行われた
息子の成長記録映画でもありながら、離婚後の母親の奮闘記でもあり、またアメリカにおける家族の在り方を描いた作品でもある
大人たちにも人生を楽しむ権利はあるけれど、優先順位の中で子供たちを育てることがどれくらい断然に最優先なのか?は(国を問わず)大きな問題ではある
と、まずは大人たちの不甲斐なさに目が行ってしまうけれど、本作のふたりの子供は(そのレベルは別として)衣食住と教育が提供されているにもかかわらず手間がかかるのも事実
それぞれに問題を抱えていて、かつ依存してという絶望的なバランスで成り立っている家族にもやがて変化が訪れる
メイソン・ジュニアが大学入学のために街を離れる日のオリヴィアの台詞
身も蓋もない母の心境ではあるけれど、だからこそ考えさせられる
12年もかけた作品の締めくくりなんて、もうどうしていいのかわからなくなってしまいそうだけど、この台詞とそれに対する芳しくない息子の反応に、唸ってしまった
かけた年月に相応しい労力と想いが伝わってくる、それでいて冗長に感じられない傑作
父親のバンド仲間の役で地元テキサスのミュージシャン、チャーリー・セクストンが出演している