無人島シネマ

毎朝7時頃更新 忘れてしまうには惜しい映画 と雑記

626. ビッグ・アメリカン

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引用元:amazon.co.jp

 

1976年の西部劇

 

原題は「Buffalo Bill and the Indians, or Sitting Bull's History Lesson

 

ロング・グッドバイ」や「ナッシュビル」のロバート・アルトマンが監督

 

客観的なアプローチの中にも、アメリカ臭い個性を感じさせる

 

 

 

実在する人物である主人公のバッファロー・ビルについて、ぼんやりとした知識しかなかったので、鑑賞前に予習しておいた

 

 

南北戦争中は北軍のスカウトとして活躍し、その後は土地の開拓や大規模な牧場の経営、いくつもの企業を立ち上げ、土地の灌漑やダム建設そして鉱山などにも投資し、ネブラスカ州の警備隊大佐にも就任する

 

また後年には、西部のガンマンとインディアン(スー族)も参加したショー「ワイルド・ウェスト・ショー」の主役兼興行主としても活躍

 

そんな彼の半生を、作家のネッド・バンドラインが小説にしたことで、さらに有名に

 

 

 

本作の中でも、バッファロー・ビルのワンマンぶりが実にアルトマン監督らしく、シニカルに描かれている

 

社会的貢献度も大きく、女性参政権などにも尽力したとされているけれど、(古今東西の有力者の例に漏れず)大局的かつ利己的過ぎる解釈で、強引に物事を進めて行く

 

当然スー族の酋長に対しても失礼な態度も多く、周囲との軋轢は次第に誤魔化せないレベルに達してしまう

 

ところが、よりによってそんな最悪のタイミングで、何とアメリカ大統領から「ハネムーンの行き先のひとつとして、ショーを観に行きたい」という電話が入る

 

 

 

バッファロー・ビルの描かれ方に、シニカルな視点満載なところは、彼の姿に今のアメリカを重ねているのか?

 

そのビルを演じたポール・ニューマンも、映画スターへの自嘲めいたものとして演じたという

 

 

アメリカ人が好む自虐には、「自分をここまで下げられるくらいに客観視できているし、それ程の精神的余裕があるんだ」とでも言いたげなインテリ臭を感じてしまうから、余り好きではないけれど、本作はその辺りの描き方がソフトなせいか、許せてしまう

 

 

 

 

明日は、開催中のドイツ映画祭2023からの作品をご紹介