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1976年の西部劇
原題は「Buffalo Bill and the Indians, or Sitting Bull's History Lesson」
「ロング・グッドバイ」や「ナッシュビル」のロバート・アルトマンが監督
客観的なアプローチの中にも、アメリカ臭い個性を感じさせる
実在する人物である主人公のバッファロー・ビルについて、ぼんやりとした知識しかなかったので、鑑賞前に予習しておいた
南北戦争中は北軍のスカウトとして活躍し、その後は土地の開拓や大規模な牧場の経営、いくつもの企業を立ち上げ、土地の灌漑やダム建設そして鉱山などにも投資し、ネブラスカ州の警備隊大佐にも就任する
また後年には、西部のガンマンとインディアン(スー族)も参加したショー「ワイルド・ウェスト・ショー」の主役兼興行主としても活躍
そんな彼の半生を、作家のネッド・バンドラインが小説にしたことで、さらに有名に
本作の中でも、バッファロー・ビルのワンマンぶりが実にアルトマン監督らしく、シニカルに描かれている
社会的貢献度も大きく、女性参政権などにも尽力したとされているけれど、(古今東西の有力者の例に漏れず)大局的かつ利己的過ぎる解釈で、強引に物事を進めて行く
当然スー族の酋長に対しても失礼な態度も多く、周囲との軋轢は次第に誤魔化せないレベルに達してしまう
ところが、よりによってそんな最悪のタイミングで、何とアメリカ大統領から「ハネムーンの行き先のひとつとして、ショーを観に行きたい」という電話が入る
バッファロー・ビルの描かれ方に、シニカルな視点満載なところは、彼の姿に今のアメリカを重ねているのか?
そのビルを演じたポール・ニューマンも、映画スターへの自嘲めいたものとして演じたという
アメリカ人が好む自虐には、「自分をここまで下げられるくらいに客観視できているし、それ程の精神的余裕があるんだ」とでも言いたげなインテリ臭を感じてしまうから、余り好きではないけれど、本作はその辺りの描き方がソフトなせいか、許せてしまう
明日は、開催中のドイツ映画祭2023からの作品をご紹介