引用元:filmarks.com
2020年のアメリカ映画
「それでも夜は明ける」辺りから映画のクレジットで目にするようになったプランBというブラッド・ピットが経営している映画製作会社
他にも「ムーンライト」や「ツリー・オブ・ライフ」など、内容のある作品をヒットさせている
本作もプランBによるもので、アカデミーの授賞式で(助演女優賞を獲得した)ユン・ヨジョンが
「ブラッド・ピットさん、初めてお会いすることができて光栄です」
と(彼が現場から遠い存在だったことを)皮肉った発言が話題にもなった
韓国人夫婦ジェイコブとモニカは、韓国人向けの野菜でひと山当てようと、長女(小学生?)のアンと弟のデビッドを連れて、アーカンソー州の田舎町までやって来る
農地をイチから開拓していく、と意気込むジェイコブだったが、モニカはトレーラーハウスでの生活にも愕然とし、夫への愛情も冷める程に絶望しかけていた
暫くして、韓国からモニカの母スンジャもやって来て同居することに
ところが、農場の仕事はいつまでも軌道に乗らず、夫婦は毎日のように喧嘩をし、子供たちは(価値観の合わない)祖母との生活に馴染めないでいた
タイトルの「ミナリ」とは韓国語でセリを意味する
本作の中では、祖母が韓国からセリの種を持って来て、川辺に蒔き立派に育てる
セリは二度目の旬が最も美味しいことから、「親が子の幸せの為に懸命に生きる」という意味が込められているという
夫婦がうまく行かない時のあるあるではないけれど、男性と女性の思考回路の決定的な違いと、互いに譲れない偏狭さが残酷なほど丁寧に描かれる
ジェイコブは「今の苦境を乗り越えれば生活が楽になるのに、妻は文句ばかり」と
モニカは「夫は、心臓の悪い息子より、野菜のことしか考えてない」と嘆く
100年前の話ならいざ知らず、1980年代のアメリカで、成功を夢見るには余りに無計画で準備不足
男女問わず、心情的にはモニカ側について鑑賞した人がほとんどではないだろうか
脚本・監督はリー・アイザック・チョン
韓国系アメリカ人の彼の父親は、アーカンソー州に移住し農園を始めたというから、本作は彼の自伝的な映画なのだろう
ちなみに父親役のジェイコブは「バーニング 劇場版」で謎の男を演じたスティーブン・ユアン
明日は、女性ワンマン社長が主人公の作品を紹介します