引用元:zaziefilms.com
教授と呼ばれる初老の男性(バート・ランカスター)は、ローマにある広々としたアパルトマンに、管理人のドメニコや家政婦のアルミニアを住まわせ、本人は自宅から出ることも少なく、絵画の収集や研究に没頭する静かな毎日を送っていた
ところが、その静寂を壊すかのようにビアンカ(シルヴァーナ・マンガーノ)と名乗る派手な格好の中年女性が現れ「ここに住まわせて欲しい」と言い出す
あまりに突然の申し出に「基本的にひとりで静かに暮らしているから、部屋は貸せない」と断るも、「せめて二階の部屋を見せて欲しい」と半ば強引に見学し、しかもその時点で、娘のリエッタ(クラウディアマルサーニ)とその同居人ステファノ(ステファノ・パトリッツィ)まで勝手に上がり込むという始末
さらにはビアンカの愛人コンラッド(ヘルムート・バーガー)までも加わり、教授が興味を示していた家族の団欒を描いた絵画を(教授に提示されていた金額よりもずっと安く)手に入れて、その絵画で教授を誘惑する形で二階に住み始める
ところがコンラッドは「ビアンカから了承を得ている」として部屋を大掛かりに改修し始めたり、無断で何日も留守にしたりと、好き勝手な振る舞いを続け、教授はほとほと参ってしまう
しかし、コンラッドが意外にも美術や音楽を深く理解していることに驚き、教授はこの若者に興味を覚える
大学入学までは芸術方面に進むつもりだったコンラッドだったが、学生運動が盛んな時代に過激な左翼思想に傾倒して大学を中退
ビアンカの夫が右翼の過激派と通じる実業家ということもあり、今は昔の仲間に追われる危険を抱えた毎日を過ごしていた
教授のアパルトマンですべての撮影が行われる、ワン・シチュエーション・ムービー
年老いた教授の閉ざされた生活を描くと同時に、晩年を迎えたヴィスコンティ監督にとって(体力的に)唯一可能な撮影方法だった
最後に食後のコーヒーを飲みながら「家族として」言い争いをするシーンは、各台詞の内容も含めて圧巻だった
長回しのシーンには普段あまり関心がない(長回しだからという理由だけで興味が増すということはない)けれど、このシーンについては本作のまさにクライマックスとして、途切れることの無い緊張感にドキドキさせられる
ちなみに教授役を務めたバート・ランカスターは、「フィールド・オブ・ドリームス」で、昔の名選手に混じってプレイする(昔、1イニングだけメジャーリーグでプレイしたことのある)男を演じ、それが最後の劇場映画出演となっている
本作は、イタリアのファッションブランドFENDIによって、デジタルリマスターされている
明日は、タイトルが気になる1964年の邦画をご紹介