無人島シネマ

忘れてしまうには惜しい映画 および雑記

68. フィールド・オブ・ドリームス

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1989年のアメリカ映画

 

 

 レイ(ケヴィン・コスナー)は、若い頃に父親(昔、マイナーリーグで野球をしていたという)と衝突して実家を離れて以来、疎遠なまま亡くなってしまったことを悔やんでいた

 

今はアイオワ州に住み、とうもろこしの栽培をしているけれど、妻と幼い娘との生活はなかなか厳しい

 

ある日、畑で作業をしていると

 

「If you build it, he will come」

 

という声がどこからともなく聞こえてきて、レイは不思議な感覚に襲われる

 

 

 

 

あまりに有名な作品なので、あらすじはここまでにしておくけれど、数あるスポーツを題材にした作品の中でも、つい贔屓目にみてしまう本作

 

一方で、今になってみると「実写化には結構無理があるな」というほど、何年も前に亡くなった野球選手が目の前に現れる話だし、ノスタルジー作品で片づけてしまう人もいるだろうな、ということは想像できる

 

しかし、それでも本作には心を揺さぶる夢があるし、父親との確執や、成人後に一緒に過ごす時間さえ作らなかった自分への許せない想いなどが、同じグラウンド(フィールドと表現すべきか?)で過ごすことで、浄化されるシーンに(父親と充分な時間を過ごしてきたとは言い切れない)世の中の多くのオトナが共感したのだろう

 

 

レイにとっては、生前に故郷に戻って会話をすることよりも、(死後とはいえ)無言でキャッチボールをする方が、不和だった父親と心通ずるものがあったのだろう

 

「言葉で確認しなくてどうするの?」

 

と普通は考えるだろうけれど、言葉にすれば安心というものでもない

 

本人たちとってベストなら、それはそれで良いと思う

 

 

 

ちなみに本作に登場する球場は、撮影のために実際に新設されたもので、アイオワ州のダイアーズビルという小さな町にある

 

2019年、MLBはここでホワイトソックスヤンキースの試合を2020年に行うとアナウンスした

 

「なんという粋な計らい!」

 

と感激していたところ、新型コロナウィルスの影響で残念ながら実施は見送られてしまった

 

MLBによると、このプランはまだ生きていて、2021年8月に行われる可能性が高いとのこと

 

席数も少ないだろうし、日本から行ける可能性は限りなく低い(そもそも感染状況が落ち着いているのか?)けれど、テレビ観戦でもいいから観たい

 

 

 

また本作から15年後、ジョー・ジャクソンと同時期にプレーしたジョージ・シスラーの年間安打記録をイチローが抜くという出来事もあって、過去の名選手の記録に注目が高まる(ベーブ・ルースタイ・カッブと違って、熱心なMLBファンでなければ知られていなかったシスラーの名前が連日報道された)という嬉しい出来事もあった

 

イチローとの関連では、もうひとつ面白い出来事がある

 

2001年に、MLBデビューしたイチローがヒットを量産して、ロイド・ウェイナーのルーキーの年間安打記録(223本)を抜くかと話題になった時、

 

ジョー・ジャクソンは、デビュー4年目の1911年に233安打していたが、彼の引退後1947年に制定されたルーキー資格(前年までの実績が、打者は130打数、投手は50イニング以内であること)を当てはめると、彼が記録保持者であることがわかった

 

これを機にジョーを記録保持者扱いするか否かの議論が起こってもおかしくはなかったが、このシーズンにイチローは242安打して議論を終わらせてしまう

 

年間の試合数、投手のレベル、ボールやバットの性質、遠征移動の負担など、90年前の野球とは単純比較はできないけれど、こういう夢のある話ができるのも野球に長い歴史があるからこそ

 

次にこういう議論を生む選手が出現するのはいつだろうか?