引用元:filmarks.com
パリ郊外の寂れた集合住宅に住む16歳の少女・マリエム
ビル内の清掃員として働く母と、暴力的な兄、そして二人の幼い妹と5人家族
父親は一切登場しない(それについての説明もない)
部活で女子アメリカンフットボールを熱心にしていたマリエムだったが、勉強が疎かだったことで、教師からは高校には進まずに職業訓練学校に行くよう勧められる
絶望したマリエムは学校にも行かず、街を徘徊していたところ、三人組の女子に声を掛けられる
素行の悪そうな彼女たちを敬遠するマリエムだったが、ちょっと気になっている兄の友人のイスマエルが彼女たちと親密なのを知り、仲間に入る
2010年代、パリ郊外に住むアフリカ系移民の少女たちのリアル(リアーナの曲がこんな風に支持されているのか、という風な様子がよく伝わってくる)
歌と踊りとお喋りが大好きで、将来に対する大きな不安と漠然とした希望を抱えている女の子たち
という点では、(年代も国も違えど)「サニー 永遠の仲間たち」に通じるものがある
しかし、将来への不安という意味では、経済格差や差別的な意味でも本作の方がより深刻で、彼女たちの意識にも焦りと諦めが混在している
しかし、生まれ育った環境には同情してしまうけれど、そうならないように勉強することも、或いは職業訓練で(描いていた将来とは違っていても)手に職をつけることも出来たはず、、と思ってしまう
勤勉や忍耐は、皆が普通に持ち得ているワケではない(この辺りは日本に住んでいる我々にはピンと来ない?)のだろう
ゾッとしたのは、以前のマリアムなら怖くて躊躇したことが、自然に出来るようになっていくところ
特に母親の職場で一日体験的に働いた後、上長から「明日から来て良い」と言われるシーン
上長に礼を言った後に握手を求め、差し出された手をグイッと引き寄せ「手違いで雇えなくなったと母親に言え」と凄むマリアムには、まだかつての良い子の要素も残っていると同時に、仲間だけでなく暴力的な兄の影響も感じさせて切ない
そして家庭内で暴力が存在することが如何に精神を蝕むのかを物語っている
「一見想像がつきそうで、案外知らないエリアかな?」と、軽い気持ちで鑑賞した作品だったけど、ズシンと腹に響いた
明日は、ストップモーション・アニメをご紹介