無人島シネマ

毎朝7時頃更新 忘れてしまうには惜しい映画 と雑記

854. わが谷は緑なりき

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引用元:amazon.co.jp

 

1941年のアメリカ映画

 

この年のアカデミー賞の作品賞、監督賞、助演男優賞の他にも撮影賞、美術賞、室内装置賞(初めて聞いた)も受賞している

 

原題は「How Green Was My Valley」

 

 

舞台は19世紀末のウェールズにある炭鉱町

 

これまで観てきたイギリスの炭鉱を扱った映画は、どれも斜陽産業として描かれていたけれど、時代設定が19世紀末だけに多少趣が異なる

 

それでも炭鉱に必要な人数以上が押し寄せ、賃金カットや解雇になってしまったり、作業中の事故で命を落としてしまうシーンもあり、厳しい環境というのは変わらない

 

 

 

ストーリーは、一家の末っ子だったヒュー(ロディ・マクドウォール)が年老いてから幼少時代を回顧する形で始まる

 

ヒューの家族は、炭鉱で働く父親のギルム(ドナルド・クリスプ)と5人の兄たち、そして母親のベス(サラ・オールグッド)、姉のアンハード(モーリン・オハラ

 

男たちが仕事から帰って来ると、姉がお湯を沸かして身体を洗うのをヒューもお手伝いするのが日課だった

 

いくら洗っても落ちない汚れもあったが、それは男たちの勲章とされた

 

そして身体を洗い流したら夕食、そして明日の労働のために就寝という、余裕は無いけれど充実した生活を送っていた

 

ところが炭鉱夫の賃金が一律カットされることになり、反発する兄たちは組合を作ろうとしてギルムと衝突し、家を出る

 

兄たちの動きは後にストライキに発展し、反対したギルムは仕事仲間たちから非難を浴びてしまう

 

そしてある吹雪の日の野外集会で、夫を非難する男たちに対抗したベスは、帰宅途中に川に転落、助けようとしたヒューは酷い凍傷で両足が使えなくなる

 

 

福岡の炭鉱を描いた「青春の門」と同様、炭鉱で働く男たち、そしてそれを支える女たちが、厳しい環境の中で、いくつもの災難を乗り越えていく

 

溢れるほどの生きる活力を感じさせる

 

年の離れた末っ子のヒューは、優しく内向的な性格ながら、学校でのいじめにも耐え、売られた喧嘩にも対応できるまでに逞しく成長していく

 

決して明るい話ではないけれど、ひとりひとりが輝いている

 

西部劇の印象が強い監督のジョン・フォードは、アイルランド系であることに誇りを持っていたというから、こうした作品を選んだのも不思議ではない気がする

 

 

明日は、福島が舞台の作品を紹介します

 

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