引用元:amazon.co.jp
1941年のアメリカ映画
この年のアカデミー賞の作品賞、監督賞、助演男優賞の他にも撮影賞、美術賞、室内装置賞(初めて聞いた)も受賞している
原題は「How Green Was My Valley」
舞台は19世紀末のウェールズにある炭鉱町
これまで観てきたイギリスの炭鉱を扱った映画は、どれも斜陽産業として描かれていたけれど、時代設定が19世紀末だけに多少趣が異なる
それでも炭鉱に必要な人数以上が押し寄せ、賃金カットや解雇になってしまったり、作業中の事故で命を落としてしまうシーンもあり、厳しい環境というのは変わらない
ストーリーは、一家の末っ子だったヒュー(ロディ・マクドウォール)が年老いてから幼少時代を回顧する形で始まる
ヒューの家族は、炭鉱で働く父親のギルム(ドナルド・クリスプ)と5人の兄たち、そして母親のベス(サラ・オールグッド)、姉のアンハード(モーリン・オハラ)
男たちが仕事から帰って来ると、姉がお湯を沸かして身体を洗うのをヒューもお手伝いするのが日課だった
いくら洗っても落ちない汚れもあったが、それは男たちの勲章とされた
そして身体を洗い流したら夕食、そして明日の労働のために就寝という、余裕は無いけれど充実した生活を送っていた
ところが炭鉱夫の賃金が一律カットされることになり、反発する兄たちは組合を作ろうとしてギルムと衝突し、家を出る
兄たちの動きは後にストライキに発展し、反対したギルムは仕事仲間たちから非難を浴びてしまう
そしてある吹雪の日の野外集会で、夫を非難する男たちに対抗したベスは、帰宅途中に川に転落、助けようとしたヒューは酷い凍傷で両足が使えなくなる
福岡の炭鉱を描いた「青春の門」と同様、炭鉱で働く男たち、そしてそれを支える女たちが、厳しい環境の中で、いくつもの災難を乗り越えていく
溢れるほどの生きる活力を感じさせる
年の離れた末っ子のヒューは、優しく内向的な性格ながら、学校でのいじめにも耐え、売られた喧嘩にも対応できるまでに逞しく成長していく
決して明るい話ではないけれど、ひとりひとりが輝いている
西部劇の印象が強い監督のジョン・フォードは、アイルランド系であることに誇りを持っていたというから、こうした作品を選んだのも不思議ではない気がする
明日は、福島が舞台の作品を紹介します