無人島シネマ

毎朝7時頃更新 忘れてしまうには惜しい映画 と雑記

853. トウキョウソナタ

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引用元:Yahoo!映画

 

2008年の日本・オランダ・香港映画

 

 

 

都内の健康機器メーカーで総務部に勤めている佐々木竜平(香川照之)は、都内に一戸建てを持ち、妻の恵(小泉今日子)と二人の息子と四人で暮らしている

 

仕事にも家庭にも何の問題も無く、自分は理想的な父親でいると信じていた

 

 

ところがある日、自分の給与の1/3でよく働く中国人に仕事を奪われ、会社をクビになってしまう

 

自尊心の強い竜平は、妻には何も言わず、翌朝もスーツを着て定刻に家を出掛ける

 

ハローワークで次の仕事を探すも、窓口で担当者から「今までと同じ条件の仕事は100%ありません」と言われてしまう

 

そして公園で配給される炊き出しをいただくことが日課になってしまった頃、高校の時の同級生、黒須(津田寛治)に出会う

 

黒須もまた竜平と同じようにリストラに遭い、家族にそれを言えないでいた

 

 

 

 

 

家族の崩壊を無機質に、そしてサイキックに描いたという点で「家族ゲーム」(1983年)を連想させるし、いづれも父親のあるべき姿について考えさせられるけれど、深く考察というワケではなく

 

「父親の存在って、それほど大きくない方がむしろ良いのでは?」

 

と思ってしまう

 

 

昔のように、父親に圧倒的な情報と経済力があった時代ならともかく、女性も社会に出て、子供もいろんな情報を簡単に得られる今、「父親の威厳」というものは幻想でしかない

 

そこに固執してしまう「痛々しい」竜平

 

印象的なシーンとして、夕食のテーブルに着いた家族三人が、竜平がビールをひと口、そしてもうひと口飲んで「あー、美味い じゃあいただきます」というまで食事に手を付けないで待っている

 

この時、既に竜平は失業中、、

 

そんな夫を、妻としておだて続けるのか、ピシャリとやりこめてしまうのか

 

恵の場合は、幻想の儚さに気付いていながらも、表面的にはおだて続けていた(最後には決壊してしまう)

 

竜介のプライドを傷つけることなく、幻想のベールを一枚一枚剥がしてあげられる妻が理想的なのだろうけれど、そんな女神のような妻は、威厳のある夫と同じくらい幻想に近い存在なのかもしれない

 

 

明日は、1941年のアメリカ映画を紹介します

 

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