無人島シネマ

毎朝7時頃更新 忘れてしまうには惜しい映画 と雑記

716. レイラ 売られた少女

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引用元:amazon.co.jp

 

2017年のアメリカ映画

 

夫婦 + 息子と娘四人で、アメリカに暮らしている中東出身の家族、サハル家

 

実際には、もうひとりこの家に暮らしている少女がいる

 

レイラ(フィデリア・グレース)は、貧しい母国(国名は明らかにされていない)に住む両親から家政婦として売られ、サハル家から一歩も出ることも許されず、そして教育も医療もない環境で、毎日長時間家事を押し付けられていた

 

 

ふたりの子供たちからも酷い扱いを受ける最悪の環境ながらも、ココを飛び出せば不法滞在で捕まってしまうと我慢(諦め)している

 

雇い主のサムは、子供たちに優秀な成績を強要したり「相手は私が見つけるからアメリカ人とはつき合うな」と言ったりと、古い中東の価値観に縛られた頑固な父親

 

しかし彼は正義感も持ち合わせていて、妻が連れてきたレイラを説明された通り姪だと信じ、妻の過度な家事の押し付けを時々窘める程度だった

 

そして妻の嘘を知ったサムが起こした行動とは、、

 

 

 

 

 

「人身売買」という言葉に引きずられてしまうと、白黒はっきりさせる方向にしか意識が向かなくなって、ストーリーの本質からむしろ逸れてしまうように感じた

 

そういう意味では、邦題はキャッチーではあるけれど、ストーリーの本質とは若干違うものを誇張しているように思える

 

ちなみに英題は「DREAMS I NEVER HAD」、原題も「Suenos Olvidados」だから「忘れられた夢」というニュアンスか

 

 

レイラと仲良くなる、この家に庭師として働いているメキシコから来た青年エミリオも不法滞在

 

茂みのような屋根もない場所に、仲間のメキシコ人たちと一緒に暮らしている

 

エミリオの様に、理由はともかく違法を承知でアメリカに来る者たち

 

「私はした行為は、貧しい国で暮らすレイラをむしろ救ってあげたこと」と主張する妻の考え

 

貧しさを理由に、娘を月30ドルで売ってしまう母国の両親

 

レイラやエミリオが住んでいた国に、そもそもの問題があるというのに、アメリカで(しかもこの一家庭の問題を単一の事件として)裁くことの限界を感じさせる

 

貧困を救うという理屈はあるにしても、家政婦という仕組みには、そもそも無理があるように思えてならないけれど、世界中(程度や規模は違えど日本でも)で昔から続いているだけの必然性と合理性があるのだろうから(もちろん法の範囲内で)上手く雇うことが重要なのだろう

 

と同時に妻の(一見、理屈の通った風な)主張に対しては、現代の、そしてアメリカでのルールに照らして裁かれるべきなのだろう

 

 

明日は、現在、過去、未来でつなぐ家族の物語を紹介します