引用元:amazon.co.jp
先に1975,年、1977年(自立編)に映画化されている
今回鑑賞したのは1981年と1982年(自立編)の作品
随分前に五木寛之の原作を読んでいるので、気軽に二作続けて鑑賞
気軽に、といっても内容が濃過ぎてつい入り込んでしまった
トータルで約280分
ソーシャルメディアが数秒で勝負する今の世の中、一作に280分費やすなんて!
福岡の炭鉱地帯に生まれた伊吹信介(佐藤浩市)の父重蔵(菅原文太)は、炭鉱の過酷な労働条件から皆を救うべく、ダイナマイトを爆発させたことを理由に検挙される
仲間を思っての行動、そして取り調べでの激しい拷問に耐え抜いたことで重蔵は北九州一帯に英雄として知られるようになる
信介の母は、重蔵がヤクザの竜五郎と喧嘩し大怪我を負いながら勝ち取ったタエ(松坂慶子)
美しくそして芯が強く逞しいタエは、気が優しくおとなしい信介を重蔵の様に育てようとする
それから数年後、竜五郎が関係する鉱山で落盤事故が起こり、抗夫たちが山の中に閉じ込められてしまう
重蔵にとってはライバルである男たちの窮地
ところが「そんなことは関係ない」と身体にダイナマイトを巻き付け救出に向かい多くの抗夫を救出するも、重蔵本人は生きて戻ることができなかった
それ以来ずっと竜五郎はタエと信介のことを特別な思いで見守ることになる
皆が食べることに必死だった時代、喧騒と活気に溢れた町で信介は青年になり、東京に進学すべく筑豊を離れる(上京後は「自立編」)
炭鉱の町に暮らす人々の熱い生き方を観て(現在の日本人の暮らしと比べるべくもないけれど)熱量の低さを平和の証と有難く思うだけでいいのかと複雑な気持ちになる
「ケス」や「ブラス!」などイギリス映画には炭鉱の町を舞台にした作品が多いけれど、本作はその日本版という捉え方もできる
どの国の炭鉱も70年代以降のエネルギー革命で閉山が決まり、町は産業の転換を強いられることになる
筑豊も1976年に最後に残った貝島炭礦が閉山し、自動車会社の工場や関連産業が立ち上がるまでに何年もかかっている(また過疎地域に指定されている自治体も複数存在する)