無人島シネマ

毎朝7時頃更新 忘れてしまうには惜しい映画 と雑記

564. ある過去の行方

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引用元:Yahoo.co.jp

 

2013年 フランス・イタリア・イラン作品

 

別離」のアスガル・ファルハーディーが監督、脚本を担当

 

 

 

フランス人の妻マリー(ベニレス・ベジョ)と別れ、今はテヘランに住むアフマド(アリ・モサファ)

 

家庭裁判所で正式に離婚を成立させるために、そしてかわいい娘たちに会うために4年振りにパリに帰ってくる

 

マリーが空港まで迎えに来てくれたところまでは良かったものの、マリーはふたりの娘だけではなく、クリーニング店を経営しているという恋人のサミール(タハール・ラヒム)と、その息子と同居しているという

 

また最近、長女のリュシーが反抗的で困っているともいう

 

アフマドは「難しい年ごろになったのだろう」と考えていたけれど、実際にリュシーから話を聞いてみると、彼女は再婚に強く反対していること、そしてその理由はサミールの妻が自殺未遂で意識の無い状態が続いているからというものだった

 

 

 

 

先述の「別離」もかなりの衝撃だったけれど、本作はそれ以上

 

しかも重厚な人間ドラマに加えて、後半に仕込まれた驚きの展開でサスペンス的な要素も楽しめる

 

 

それにしても両作品とも主演の女性の描き方が辛辣で、最後まで鑑賞するのはかなり消耗する

 

二人とも優秀で美しく自信に溢れているけれど、人の話を聞かず攻撃的で思いやりに欠ける

 

少しは自身の心の中に他者(の考え)を受け入れる隙間を開けておかないと、これじゃあ周囲を不幸にさせるだけだろうとも思うし、自分の身の回りにはここまで強烈な人はさすがにいないけれど(同じように激高しているけれどそれを表には出さないだけなのかもしれない)気を付けないと、と考えさせられる

 

「自分の意見が通って良かった」、「受け入れてくれて嬉しい」という場合にも、素直に喜ぶ前に「果たして相手にストレスをかかていないかな?」と考えてみないと(というか、そうなる前段階で考慮すべきか?)

 

ふたりの様なタイプは一定数存在するし、ネガティブな局面ではさらに面倒な人になってしまうというシーンを描きたくなる気持ちは理解できるけれど、アスガル・ファルハーディー監督に何か大きなトラウマがあるのでは?と心配してしまう 

 

実際に、映画を観た多くの人から「監督の実体験に基づいているのでしょうか」とよく聞かれるらしい(実際には離婚経験もなく家族円満に暮らしているとのこと)

 

 

 

明日は、日本人の逞しさを描いたあの名作を