引用元:france-chebunbun.com
大崎章監督による2015年の作品
タカシ(渋川清彦)は一作品だけ公開実績のある映画監督
次の公開予定どころか、シナリオが認められる段階にも至っていない
そんな彼に愛想をつかした妻(渡辺真紀子)の勧めで、癌で入院している兄マサル(光石研)のケアをしに実家に戻っていた
妻はこれをきっかけに別居からの離婚を計画、互いに新しい人生をやり直せたらと考えていた
兄の為に食事を用意し、家事全般をこなす生活は5年にもなり、映画を撮るという目標はすっかり形だけのものに、、
そんなある日、タカシとタッグを組んでいるシナリオライター、かつ旧友の藤村(岡田浩暉)の頼みで、ある女性を紹介される
藤村も、いま夢中になっている彼女から頼まれてのことらしく、彼女の友人という涼子(河合若葉)を紹介される
食事の席で、涼子と話したタカシは「こんな素敵な女性が兄の結婚相手になってくれたらなあ」と心底思う
全編モノクロ
観始めるとすぐに、その世界に入り込める不思議
タイトルの通り、夏の盛りの光と影に意識が向けられ、普段とは違う感覚で映像を楽しめる
舞台となったのは監督の地元でもある群馬
「キャッチボール屋」(2006年)以来二作目となるこの作品、大崎監督とタカシが重なる
自己主張が苦手で、周囲に流されがちなタカシ
優しい彼の穏やかさ、とも理解できるけれど、ひとりのオトナとしては、時と場合によっては「その緩さ」は許されない時もある
例えば「飲んではいけない」状況でも、深く考えずに飲んでしまう
そんな彼には、幸せな生活を維持できる可能性もあっただろうし、本作の様に破綻してしまう可能性も同じくらいある
悪気の無いタカシに同情する部分もあるけれど、父親としてこういうタイプはかなり困り者だし、母親業をこなす妻の立場からすると尚更
その妻を渡辺真紀子、不愛想な兄を光石研という「どんぴしゃ」なキャスティングの安定感の上で、渋川清彦が存分にダメ男を演じている
明日は、キアロスタミ監督作品をご紹介