「ドライブ・マイ・カー」がゴールデングローブ賞を受賞したことで話題の濱口竜介監督
「パラサイト 半地下の家族」、「ミナリ」、「ノマランド」、「万引き家族」などアジア人監督作品のノミネートや受賞がが相次ぐ中での嬉しいニュース
「ドライブ・マイ・カー」は原作を読んでいることもあって、劇場で観るのは本作を優先
三話のオムニバス作品
タクシーの中でつぐみ(玄理)から気になる男性の話を聞かせれrたモデルの芽衣子(古川琴音)
先につぐみがタクシーを降り、ひとりになった芽衣子は、運転手に「いま来た道を戻ってください」と告げる 「魔法(よりもっと不確か)」
大学生四年生の佐々木(甲斐翔真)は出席日数が足りなくて単位を落とす
作家兼教授の瀬川(渋川清彦)にかけ合うも断られ、折角の就職内定もご破算になってしまう
そんな瀬川の元に佐々木の同級生の奈緒(森郁月)がやって来て、有名な賞を獲った瀬川の小説にサインして欲しいと言う 「扉は開けたままで」
仙台駅のエスカレーターで高校の時のクラスメイトのあや(河合青葉)に出会う夏子(占部房子)
20年振り、しかも偶然の再会にふたりはしばらく盛り上がって話し込むも、完全に逸したタイミングでとある確認作業を迫られてしまう 「もう一度」
三話ともに「かなりイカれたストーリー」
登場人物の殆どは、人との距離を縮めることに長けている人たち
そういうのが苦手な自分としては、ちょっと考えにくい設定や展開ではあるものの、話の面白さについ飲み込まれてしまった
最初から最後まで「平均して高い集中で鑑賞できた」という意味では過去最高レベルだった
濱口監督のインタビューで「人とのコミュニケーションは難しいけれど、誰しもそれを上手くやろうとしている」というニュアンスの発言があったけれど、その気持ちが強すぎたり弱すぎたりすると、ちょっとした綻びができてしまうのだろう
本作の登場人物は、そうした難しさに果敢にチャレンジしているし、言語化できない感情を大切にしながらも可能な限り言語化する努力をしていて偉いなと思った(人によってはチャレンジする環境も無いのだろうけれど)
オムニバス映画って、大抵出来栄えに差があったりするけれど、この三話はまったく違う話なのに、どれもイカれててどれも面白い
どれが好きかアンケートとったら均等に分かれそうな気がする
何度か流れるシューマンの「子どもの情景」がとても効果的