引用元:amazon.co.jp
2011年のイラン映画
先に書いてしまうけれどラストシーンの余韻がまだ残っている
ズシンと胸に来た
結婚して14年になるナデルとシミン
11歳の娘テルメと三人、テヘランで生活している
暮らし向きは悪くないものの、娘のためにと海外に移住したがる妻と父親の介護を理由にそれを渋る夫の関係は険悪で、離婚の可能性が高まっていた
シミンは家庭裁判所に離婚申請するも、夫は真面目に働き暴力も振るわずそして国は子供を育てる場所としてふさわしくないという主張が通るはずもなく、主張を却下されたシミンは実家で暮らすことにする
一方のナデルは、ラジエーという女性を雇って父の介護してもらう
ところがラジエーはこの仕事に就くことを無職の夫ホジャットに伝えていなかった
そんなある日、ナデルがテルメと外出から戻ると、ラジエーの姿はなく父親は腕をベッドに縛り付けられた状態で苦しんでいた
父親は一命をとりとめたものの、しばらくして戻ってきたラジエーに対してナデルは激高し、抵抗する彼女を無理矢理家から出そうと押し出したはずみで、妊娠していたラジエーは流産してしまう
妻と夫、夫と家政婦、そしてその夫との言い争いが延々と続き、正直なところ(それにつきあうだけでも)かなり消耗する
それぞれが「譲れないこと」が多すぎて、あらゆる局面で一触即発の空気に包まれる
誇りがあることは素晴らしいけれど、日常生活においてここまで妥協できないと息苦しいだろうにと心配してしまう
日本人には理解が難しいけれど、社会全体がこうしたスタンスだと一度妥協しようものなら底なしに妥協することになるのかも?これはこれで理にかなった生き方なのかもしれない
また日本の「嘘も方便」とか「負けるが勝ち」という考え方が本作に寸分も相容れない感は可笑しいくらいに異次元(とはいえ本作の登場人物もいくつかの嘘を抱えながら争っている)
常識や理屈が日常生活でどの程度通用するのか、或いは国によってどのくらい異なるのか?
アメリカや中国、インドやフランスで本作がどの様に受け止められているのか気になる
明日は、去年まとめて本数を観たロミー・シュナイダー出演作をご紹介