引用元:amazon.co.jp
2015年のイラン映画
監督のジャファール・パナヒは、カンヌ・ベネチア・ベルリン映画祭で受賞経験を持ちながらも、反体制的な作風と大統領選で改革派を支持したことで逮捕され、映画の製作や脚本の執筆などの活動を20年間禁止されている
ならば、と自らタクシーを運転し、車載カメラで乗客を撮ったのが本作
ドキュメンタリー風で、映画評にも
「これはフィクション?ドキュメンタリー?」
という風に書かれていた(あまり夢の無いことはいいたくないけれど、ドキュメンタリーでここまで「イランらしい」エピソードが揃うことはないだろう)
テヘランの街並みや、人々の様子が観られるのも嬉しい
死刑制度について議論する女性教師と威勢のいい男、金魚鉢を大事そうに抱えた二人の老女、映画監督を目指している学生、(乗客ではないけれど)学校の宿題で映画撮影をすることになり叔父さんにアドバイスを求める姪っ子など
みな国や政治や生活に大きな不満を抱えていながら、活き活きとしていて、よく喋り、よく主張する(日本人の数倍はエネルギーがありそう)
ちなみにパナヒ監督は、2011年に映画製作を禁じられた自分の生活を収めた「これは映画ではない」(泣かせるタイトル)を撮った時には、映像の入ったUSBメモリーを菓子箱に隠して映画祭に応募したとか
2019年11月にガソリン価格の大幅値上げに抗議するデモがイラン全土に広がった際に、治安部隊の弾圧によって7000人近くが逮捕され、拷問が行われた
水攻め、ムチ打ち、電気ショック、爪はがしなど、「いつの時代の話よ?」というくらい酷い拷問が行われた
ガソリン値上反対のデモくらいでこれだから、自国の恥部を世界に晒したと眼をつけられたらどんな拷問が待っているのか?
まさに命懸けの映画製作だろう