彼が死去したスイスでは、1日に4人が同じ方法で自死している
そして、アラン・ドロンも現在スイスに住み、その準備をしているという
昨年公開された「PLAN 75」は、日本の近未来を大胆に想像した作品だったけれど、本作は「今の欧州の現実」を描いている
初めてフランソワ・オゾン監督作品を劇場で鑑賞(WHITE CINE QUINTOにて)
自宅でパソコン作業をしていた、作家のエマニュエル(ソフィー・マルソー)の携帯電話が鳴り、父親のアンドレ(アンドレ・デュソリエ)が脳卒中で倒れたことをしらされる
慌てて病院に駆け付けると、85歳になる父のCTスキャンが始めるところだった
検査を終えた父親は、自分の状態に愕然としてしまい、エマニュエルに「生きることと延命とは違う、もう死にたい」と、安楽死の手助けを頼む
突然の、そしてとんでもないお願いに、拒否反応を示すも、言い出したら聞かない父親の性格を、最もわかっている身として拒むことはできず、自宅に戻り眠る前に「合法的な安楽死」について調べるエマニュエル
フランスでは認められていないものの、スイスでは(審査はあるものの)可能らしいことが判り、早速スイスの協会にコンタクトをとることにする
奇をてらったエンディングではなかったけれど、エンドロールが始まった瞬間に
「あ、終わったんだ ふうー」
と、それまで深刻なストーリーの中に引きずり込まれていた状況から解放され、
「映画って(ややこしい話でも、2時間で解放されるから)よく出来た娯楽だなあ」
と、今更ながら感じた
そう感じるほどに、悩みながらも敢えて最後まで父親に振り回されるエマニュエル役のソフィー・マルソー、奔放でお喋りな父親のアンドレを演じたアンドレ・デュソリエ、そんないい加減なアンドレを頑ななまでに許さない妻のクロードにはシャーロット・ランプリング、そして尊厳死をサポートするスイスの協会の幹部(丁寧な対応の中にもどこか冷やかなものを感じる)にはハンナ・シグラ、という鉄壁のキャスティングによる
、最高のエンターテインメントだった
ハンナ・シグラが気になって調べてみると、ヴィム・ヴェンダースの「まわり道」で、あのテレーゼ役(女優)を演じていた
最後に、父親のアンドレは、事業に成功し、プライベートも謳歌してきた(妻とは別にボーイフレンドまでいた)チャーミングな人ではあるけれど、スイスに行くことを家族以外に話してしまう
アンドレのその行為は、家族から特別非難されるわけではないけれど、「喋るべきでないことを喋る人」というのは何とも魅力に欠けるな、と感じた
明日は、イラン映画をご紹介